【観国之光 299】Go To スタート、観光業の苦境に理解を 本社論説委員 内井高弘


観光地の人出も地域差が出ている(写真と本文は関係ありません)

 新型コロナウイルスで大きな打撃を受けている国内旅行の回復を目指す政府の「Go Toトラベルキャンペーン」。ニュース番組だけでなく、バラエティ番組でも頻繁に取り上げられている。

 観光の話題でこれだけ世論が盛り上がっているのはあまり記憶にない。残念なのは「いい話題」で取り上げられていないことだ。

 Go Toの詳細が7月22日実施の直前まで不明のままで、方針も二転三転して混乱を招いた点や、感染者が増えている状況下、「キャンペーンは感染拡大につながらないのか」「いまやるべきなのか」という不安がある中での前倒しスタート。

 おまけに、キャンセル料の補償の方針転換、政府の説明不足で旅行を提供する事業者側が消費者に説明できない内容の複雑さ…。批判が集まるのも理解できる。

 コロコロ変わる政府方針だが、よくいえば、国民の批判に応えようとする姿勢の表れでもある。が、「状況を把握できないだけではないか」という辛辣(しんらつ)な意見もある。

 Go Toは苦境に立つ観光業界を救う事業であり、期待も大きかっただけに、スタートでつまづいたことは残念でならない。また、この先業界に非難の矛先が向かうのを恐れる。

 仮に、7月22日以降、各地で感染者が増えれば「キャンペーンのせいだ」「政府の意向を受け、事業を遂行した者はけしからん」という短絡的な意見が出ないとは言い切れない。旅行者と直接向かい合う旅行会社や宿泊施設に不満をぶつける人もいるだろう。業界団体はこうした事態も視野に入れて、対応策を考えてほしい。

 ようやくというべきか、7月27日から、あらかじめ割引を反映させた価格で旅行商品を販売できるようになった。

 これまでは割引前の価格で販売され、旅行者が割引を受けるには、旅行の後、宿泊証明書などを事務局に提出して還付を受ける手続きが必要だった。旅行者、事業者双方に負担がかかっていた。その手間がなくなっただけでもGo Toの使い勝手は良くなる。
 宿泊施設や旅行会社がキャンペーンに参加するには感染防止対策を徹底した上で、事務局に登録申請する必要がある。観光庁によると、登録承認事業者数は7月27日時点で、旅行会社が3532、宿泊施設が9007となっている。

 出発地としても目的地としても最大の東京都が外されるなど、依然として自由な移動が制限され、レジャーを楽しむこともままならない状況下にある。だからこそ日常を離れ、心身ともにストレスから解き放たれたいという思いは強い。業界関係者はその思いに応えようとしていることを強調しておきたい。


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