【観国之光 239】GW10連休 大型連休狂騒曲になる? 本社論説委員 内井高弘


めったにない10連休。海外はもちろん、国内の観光地も多くの観光客が詰めかけ、混雑が予想される(東京・浅草)

 昨年12月の国会で、天皇陛下が譲位する4月30日と皇太子さまが即位して改元が行われる5月1日に加え、2日を休日とする特別法が成立した。この結果、今年のゴールデンウイーク(GW)は4月27日(土)を休めば10連休(~5月6日)となる。

 観光業界にとって長期の休みはビジネスチャンスといえる。「せっかくの10連休、旅行でもしようか」という機運が高まることは確実で、例年になく盛り上がりそうだ。

 GWとはいえ、日並びや会社の方針で長期休暇がとれないケースもあり、安・近・短旅行にとどまることも少なくない。しかし、今回は法が後押しする。気兼ねすることなく休めるわけで、観光業界だけでなく、レジャー業界、小売り業界なども大きな期待を寄せている。

 旅行会社のツアーへの問い合わせも多く、予約が取れないケースも出てきている。特に海外旅行はキャンセル待ち状態にある。

 エイチ・アイ・エスが1月中旬に発表したGW海外旅行予約動向によると、「例年より予約のタイミングが数カ月早く、現時点で予約者数は前年比3倍超で推移している」。オセアニアは6倍、北米5倍、欧州4倍という。出国のピークは4月27、28日、帰国は5月4、5日と予想している。平均単価は前年比2割増で、懐が痛みそうだ。「めったにない機会なので海外旅行に行きたかったが、価格があまりに高く断念した」という声も出ている。

 国内も似たような状況で、GWの観光地はどこも混雑が予想される。道路も渋滞しそうで、「疲れるのを覚悟して行くしかない」と悲壮感いっぱいのお父さんもいる。

 受け入れる側も大変だ。宿泊施設は人手不足が深刻で、「どこがピークになるのかが分からないのが不安。そこに合わせてスタッフの配置や仕入れなども考えなければならず、頭が痛い」と漏らす経営者もいる。同じような悩みは飲食店でも。「バイトの確保がつかない」と頭を抱える。

 10連休ともなればさまざまな問題も発生し、マイナスの影響も出てくるとの見方もある。特に、医療、介護、保育などの現場で危機感が強いほか、出勤日数の減少が給料に響く労働者も不安を抱える。

 政府高官は「ゆとりのある国民生活の実現を期待する」と話しているが、実現できるのはゆとりのある人だけという指摘もある。

 10連休というのは休日法が定められた1948年以降、最長となる。大型連休がどんな結末を迎えるのか分からないが、観光業界にとって明るい話題となることを期待したい。

【内井高弘】

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