【VOICE】修学旅行の灯は消してはならない 公益財団法人全国修学旅行研究協会 常務理事 岡田俊二氏


岡田氏

岡田氏

修学旅行へ公的支援を!

 修学旅行は、教育課程の一環として学校外で実施される宿泊を伴う教育活動だ。文部科学省が定める学習指導要領では”生きる力”の育成が掲げられているが、全国修学旅行研究協会としても修学旅行を”学びの集大成”と位置付けている。教科や道徳、探究活動の実践の場であるだけでなく、人間関係づくりや人間力を育む貴重な機会であると捉えている。

 また、主体的・対話的で深い学びである「アクティブ・ラーニング」の視点は重要であり、修学旅行はまさに「探究学習」の実践そのものである。そしてそれらの「学び」以外にある魅力は「集団生活と非日常の体験」にある。

 仲間や先生と寝食を共にし、訪問先の人々とも触れ合い、生きた体験をする、これこそ机上の知識では得られない本物の学びであろう。そして、その体験や思い出が、将来、友人や家族と再びその地を訪れる「リピーターの創出」につながるのだ。

 修学旅行は、将来の旅行需要を育てる重要な役割をも担っており、いわゆる日本国民の「旅の原点」であるともいえる。

 約4年に及んだコロナ禍を経て、一見平穏無事な学校生活が送られているが、修学旅行の実施においてはコロナ禍前の当たり前のことが当たり前ではなくなった。

 他の学校行事と異なり、旅行会社をはじめ、交通・宿泊・見学・体験施設等の協力無くしては実施できないのが修学旅行である。しかし、コロナ禍後の諸物価高騰と実施に関わる各産業分野での人手不足、特定観光地のいわゆるオーバーツーリズムも重なり、当たり前の修学旅行の実施が困難となっている。

 特に、物価上昇による旅行費用の高騰、保護者負担の増大は大きな課題である。

 昨年、東京の葛飾区は中学生1人当たり8万円を上限として修学旅行費を公的負担すると発表した。既に昨年度から東京都においてはすべての公立小中学校で給食費の無償化が実施されているが、小中学校の校外活動や副教材費、制服を無償化する自治体も続々と現れている。

 このような自治体が出現するなか、全国的には修学旅行に公的支援を行う地域はまだまだ多くない。学校は宿泊態様の工夫や貸し切りバス行程の削減などを行い、でき得る限りの旅行費用の削減に努めているが、学校の自助努力も限界にきている。

 先述したような修学旅行の教育的、経済的な意義および価値を今一度認識いただき、教育の機会均等や経済的格差是正のためにも、行政による公的支援の実現を切に望みたい。

 日本独自の教育システムである「修学旅行」。その灯は、決して消してはならない。

岡田氏

岡田氏

 
 

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