【竹内美樹の口福のおすそわけ 283】炊飯器 vs 土鍋 vs 羽釜 その2 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹


 前号の続き。炊飯器購入を検討中の筆者、買い物はいつも即決だが、炊飯器となると話は別だ。長いお付き合いになるし、お値段もそれなりだもの。絞り込んだ末、お悩みポイントは内釜だけになった。土鍋か羽釜か?だ。解決の糸口になればと、直火で炊くことが多い今日この頃である。

 土鍋はずいぶん前から使っている。直火でご飯を炊く際は「始めチョロチョロ中パッパ、赤子泣いてもふた取るな」が鉄則。コレが案外難しいのだが、火加減を気にせず炊ける土鍋があると知り購入。それが前号でも触れた「かまどさん」だ。

 初めて炊いた時、ふたを開けて、おぉ~っ! カニ穴!と感動した。カニ穴とはカニが砂浜に潜った際、海水を出すために開ける穴。同様に、ご飯を炊くと小さな穴が開くことがあるが、コレは蒸気を逃す通気孔で、おいしく炊けた証拠である。当時はオール電化マンションに住んでいたから、わざわざカセットコンロまで購入したのだが、そのかいがあってうれしかった。

 でも、土鍋ってヤツは世話が焼ける。初めて使う前には、「目止め」をしなきゃいけない。土鍋には無数の気孔があり水漏れの原因になるから、まずはおかゆを炊いてふさぐのだ。炊き込みご飯を作って、焦がしてしまったこともある。焦げがこびりついて取れない場合、重曹を入れた水を沸騰させ、しばらく置いてから洗い、また目止めをするのだ。

 それでも美味ご飯が食せるからと、愛用している。だが、ちょっと浮気をした。それが羽釜だ。一軒家に引っ越して念願の直火が使えるようになり、「釜炊き三昧」という昔ながらの羽釜を再現した鍋を購入。コンロに載せる「かまど」が釜を包み、熱効率を上げると同時に、吹きこぼれ受けの役目も果たすのだ。

 こちらも火加減要らずで超簡単。炊きあがりはもちろんカニ穴ができ、ご飯粒が立っていて、ウルトラ美味。だが、土鍋と違い吸水性がないから、そのまま置いておけない。そこで曲げわっぱのお櫃(ひつ)をゲット。適度に水分を吸ってくれる上、ほのかに木の香りが移ったご飯は最高!

 炊飯器の内釜選びのために土鍋と羽釜を頻繁に使うようになったハズが、直火炊きにすっかりハマってしまった。それに、家電っていつも、調子悪いかも?と買い換えようとすると、やたら奮闘し始める。

 そんなこんなでいまだ購入には至っていないが、いずれにせよ、外国人観光客がこぞって買いたがるニッポンの炊飯器って、やっぱりスゴイ。最新鋭機器を生み出すモノづくりの技術には、頭が下がる。

 実は購入に踏み切れないワケがもう一つ。スイッチポンで炊けて保温もバッチリだったら、いつでもツヤツヤの銀シャリにありつけるのだ。…ってことは、食べ過ぎがオソロシイ。

 考えてみると家電メーカーの炊飯器戦争も、皆がおいしいご飯を求めている証拠。ご飯、なんて罪作りなヤツ。そして今夜も、その誘惑に負けてしまった。でもやっぱりウマイ!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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