【私の視点 観光羅針盤 365】2023年の世界的イベント 吉田博詞


 3年ぶりに行動制限のない年末年始となり、各観光地はコロナ禍前の活気を取り戻しつつあるとのことで、回復に安堵(あんど)している方も多いことだろう。弊社が拠点を構える浅草においても、年末年始の浅草寺は3日間の人出が約280万人強とのこと。コロナ禍前が300万人であり、昨年は190万人を切っていた中、ほぼコロナ禍前まで回復をした模様。かなり訪日客も戻ってきている実感がある。

 さて、そんな中、2023年の展望を整理してみたい。中国の規制緩和等の動向は気になるところでもあるが、23年は続々と国際イベントが開催されることになる。

 日本に関するところでは、G7広島サミットおよび関係閣僚会合が全国14の地域で開催される。5月19~21日の広島県・広島市での首脳会議のほか、年間を通じて札幌市、仙台市、新潟県・新潟市、栃木県・日光市、茨城県・水戸市、群馬県、長野県・軽井沢町、富山県・石川県、三重県・志摩市、大阪府、岡山県・倉敷市、香川県・高松市、長崎県・長崎市、宮崎県・宮崎市で各会合が開催される。これらのことを考えると、年間を通じて国内外の関係者の来訪は期待したいところである。広島ではその準備が着々と行われ、期間内の警備や関連企画も続々と進んでおり、その発信力に期待したいところだ。

 5回目の開催となるワールド・ベースボール・クラシック2023は2年の延期を待って日本、台湾、アメリカでの開催となる。欧米豪関係での大きなイベントとして、ラグビーワールドカップ2023フランスが9~10月にかけて51日間にわたり繰り広げられ、ラグビー生誕200年を祝う記念大会となるのでその注目度も高い。FIFA女子ワールドカップは7~8月にオーストラリア・ニュージーランドで開催される。アジアだけでみても、アジア競技大会は9月に中国杭州にて、AFCアジアカップは12月あたりでカタール開催と各企画が目白押しである。

 今年の国際イベントは現段階において、ほぼ開催されるとみて問題ないだろう。22年は日本より一足先に世界各国で人の動きが活発に再開された中で、今年はより国内外での加速が期待され、ゼロコロナを続けていた中国もこれから一気に動きだすことになる。

 ビアターやゲットユアガイド等主要OTAの関係者と話をする中で、既に22年12月時点の予約数がコロナ禍前に戻るか、それを超える件数まで伸びているとの情報も入ってきている。こうした多角的な動きにアンテナを広げた上で、どうありたいかを描いてみてほしい。

 コロナ禍で再構築してきた明確な座標軸の中で、地域の未来に向けた歩みに市場の新たな需要を程よくチューニングしながら、変化への準備をすることで次の流れに対応してもらいたいところだ。コロナ禍の対応においても「目の前の国内対応をしつつ、ゆくゆくのインバウンド回復を見据えて」というキーワードは各所で語られてきた。国境を越えた動きが加速する中で、選ばれ続けていく地域の展望をしっかりとアップデートしてもらえるとうれしい。

(地域ブランディング研究所代表取締役)

 

 
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