【特集】新人研修・若手社員の育成 松本楼(群馬県伊香保温泉)松本由起女将に聞く


松本楼(群馬県伊香保温泉)松本由起女将

 やさしさと触れ合いをコンセプトとする群馬県・伊香保温泉の旅館、松本楼(松本光男社長)は、正社員47人のうち、30人の20代が在籍している。今年度から新たに6人の新入社員(第2新卒含む)が加わり、若手社員が主体・意欲的に働ける成長支援に力を入れる。

 新人研修期間は約3週間。入社から半年間は、新入社員に入社2~3年目の若手社員が1人ずつ付いて指導する「エルダー制度」を導入しており、研修期間中は全ての新入社員と関われるよう、ローテーションしながら実務指導やサポートを行う。年の近い社員が直接関わることで新入社員の不安や悩みを軽減し、職場への柔軟な適応を図るのがねらい。

 研修では、伊香保の温泉街を巡り接客に必要な知識を得る「観光地研修」を初日に実施。その後は、eラーニングを活用した座学、ふすまの開閉や部屋案内などの実践に励む。「知識の飲み込みは早く、意欲的に学ぼうとする姿勢が印象的。厳しい言葉を投げかけるのは私たち管理職の役目なので、先輩社員には『どんな小さなことでも褒めるように』と伝えている」と松本由起女将は語る。

 研修の後半に実施する「1泊2日研修」は、”新人研修は先輩の学びの場”の考えのもと、入社3年目の若手社員がプログラムを作成・進行し、社会人としての本質やキャリアについて考える。「接客をする上での所作も大事だが、社会人になる上で人間としてどうあるべきか、自分自身を見つめる時間も新入社員には必要。これまでは外部コンサルタントにプログラムを依頼していたが、自らの手で作り上げる経験が、若手社員の成長につながると考えている」と松本女将。

 新人研修後は年2回、上司と面談を行い、仕事やモチベーションの状況を確認する。以前、若手社員から「仕事が素早い人は時間内に終わるのに、自分のペースで仕事をしている人にだけ残業代がつくのは不平等だ」という声が挙がり、すぐに固定残業代を導入した。社員からの要望を見える形で経営に反映することで、社員の成長意欲を後押しする。

 「若手社員をはじめ、老若男女問わず活躍しているのが松本楼の強み。だが、表に立つのはあくまでも若手社員なので、コミュニケーションをしっかり取りながら、若手が育つ組織を構築していきたい」と松本女将は話す。きめ細やかな指導で、若手社員の定着化にもつなげたい考えだ。


お茶出し研修の様子


松本楼(群馬県伊香保温泉)松本由起女将

 
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