【特別インタビュー】飛騨・高山観光コンベンション協会 堀泰典会長に聞く


飛騨・高山観光コンベンション協会 堀泰典会長

コロナ禍後見据え反転攻勢を

清流生かしたイベントを計画 観客満足する選択肢を提供

 ――新型コロナウイルスの感染拡大で観光業界も大きな痛手を被っています。

 「飛騨高山も同様で、外国人旅行者のキャンセルが相次いでいます。特に台湾や香港、シンガポールなど東アジアからの旅行者は減少しています。日本人旅行者も出控え気味で、落ち込みに輪をかけています。ただ、コロナ禍はいずれ終息します。その時に備え、反転攻勢のための準備をきちっとしておくのが重要です」

 「売上高の減少などに苦しんでいる事業者を支えるため市は利子補給することを決め、3月議会に諮り、可決しました。3年間はほとんど無利子になり、事業者にとっても使い勝手がいいのでは。問題は終息後に誘客をどうするかです。市と歩調を合わせ、『高山は安全安心』を強くアピールしていきます」

 ――具体的に考えていることは。

 「例えば、SNSやブログの活用。国内にいる外国人ブロガーを招いて市内を歩いてもらい、魅力を知っていただいた上でポジティブな情報を発信してもらう。また、回遊性を高めるため、4月から観光施設や名所を結ぶ観光特化型バスを3台運行します。一般募集で愛称も決まりました。利用を呼び掛け、旅の足として気軽に活用してもらいます」

 ――高山の春を象徴する高山祭(山王祭)の行方が気になります。

 「例年通り4月14、15日に開催しますが、規模を縮小します。屋台の曳き揃えなどは行いませんが、屋台蔵に入っている屋台は見ることができます。従来とは違った雰囲気をぜひ味わっていただきたい」

 ――新型コロナの影響はともかく、今年の協会のテーマは。

 「今年は暖冬で雪も少ない。今年の夏も熱くなりそうで、水不足も心配です。それを踏まえ、飛騨高山の豊かで美しい清流に注目、自然と親しむイベントを予定しています」

 「一つは『ONSEN・ガストロノミーウォーキング』を6月に奥飛騨の栃尾温泉と高原川流域で実施します。テーマは『せせらぎをBGMに奥飛騨をめぐる、つかる、食べる』です。また、サイクルツーリズムに力を入れる。国府地区や奥飛騨温泉郷地区で足掛かりの実証実験をやる方向で国と協議しています。夢は大きく、国が指定する『ナショナルサイクルルート』を目指します(笑い)」

 ――奥飛騨温泉郷の活性化につながればいいですね。

 「奥飛騨温泉郷は国民保養温泉地に指定されており、個性豊かな五つの温泉地があります。北アルプスの雄大な自然を生かし、原点回帰して滞在型の温泉保養地としてアピールすべきです。現状、素晴らしい素材を生かし切れていません」

 「連泊に耐えられる企画を作っていただけるよう働き掛けています。奥飛騨温泉郷からちょっと足を伸ばせば上高地や乗鞍岳に行けます。生かさない手はない。また、食についても、例えば1日目は宿、2日目は五つのエリアのどこかで飛騨牛のバーベキューをやるといった仕組みを作る。宿泊客にいろいろな選択肢を提供、次に来る動機付けをしてほしい」

 ――奥飛騨温泉郷の人気観光スポット、新穂高ロープウェイもリニューアルされます。

 「開業50年を迎える7月に、ヨーロピアンデザインのゴンドラになります。5月27日から運行休止になりますが、再開すれば需要を喚起する大きな起爆剤になります。再開後をにらんでどう活用するのか、奥飛騨温泉郷の皆さんのアイデアに期待です」

 ――19年の観光入り込みはいかがですか。

 「対前年6.6%増の473万3千人と好調でした。うち、宿泊客は2.8%増の227万2千人。外国人宿泊客は過去最高の61万2204人、伸び率は10.9%でした。今年もこの勢いを持続させたかったのですが、残念です。コロナ禍が早期に終息することを願うばかりです」

 ――ホテルの新築ラッシュも続いています。

 「4月1日に東急ステイ飛騨高山・結の湯が開業し、以後も高山グリーンホテル・桜凛閣、ホテルウィングインターナショナルなどが開業する予定です。東急ステイさんは212室560人収容と、一番の規模を誇ります。また、今年度だけでも千室ほど増えそうで、既存施設を合わせると4千室ほどになります。地方都市でこの規模はなかなかないと思います」

 「インバウンド増や高山の『ハブ化』をにらんでの進出だと思いますが、新型コロナの影響もあり、供給過多にならないかやや心配です」

 ――受け入れ態勢は充実していますので、それをアピールすればビジネスチャンスも出てくるでしょうね。

 「その意味ではMICEの誘致が鍵を握る。宿泊施設に加え、市民文化会館や飛騨高山ビッグアリーナなどコンベンション施設も充実しています。正直、県や岐阜市よりも機能は上です(笑い)。MICE担当は現在2人おり、年間100件ほどのMICE実績を上げています。開催補助金もあり、これらをいままで以上にアピールし、誘致に力を入れていきます」

 ――高山を基点にさまざまな観光地に行ける『高山ハブ化』構想を掲げていますが、2次交通の整備については。

 「濃飛乗合自動車さんが高山・下呂と馬籠・妻籠を結ぶ特急バスを4月1日から11月末まで運行します。また、4月10日から、高山―白川郷・高岡線を開設する予定です。加えて、4月1日から市内循環バスが乗り放題になる『濃飛バスエリアフリーきっぷ』も売り出されます」

 ――新型コロナの影響で列車での移動を避ける傾向にあり、それに代わってマイカーでの利用が増えてくるといわれています。

 「マイカー需要を取り込むため、『匠バス』利用のお客さまは市営不動橋駐車場と天満駐車場を市と話し合い、3時間無料にしました。同時に、旅館組合にはマイカー宿泊プランを作っていただきました」

 ――逆風が吹いていますが、飛騨高山は負けない、と。

 「そうですね。飛騨高山のブランド力をさらに高めるべく、さまざまな手立てを講じます。高山祭はもちろん、きものさんぽやONSENガストロ、体験交流館、サイクルヒルクライムなど観光客が満足する選択肢を用意、お待ちしています。コロナ禍を乗り切ります」

 

飛騨・高山観光コンベンション協会 堀泰典会長

 
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