【旅館ホテルのおもてなし 33】お体の不自由なお客さまへ5 大谷 晃


 ●部屋食でのお食事時のサービス

 ここでもきめ細やかなサービスが大切です。できる限り分かりやすく、かつ的確に説明する必要があります。

 例えば、料理の場所は時計に見立てると、分かりやすいでしょう。例「9時の方向にあるふた付きの器が茶碗蒸し
です」。

 料理を次々にお出しする時は位置も言い添えます。例「〇〇の左隣りに〇〇を置きます」。

 鍋などの熱い料理は、場所と熱い旨を必ず伝えます。例「左手の鍋が熱くなっています。お気を付けください」。

 いったん並べたら、お皿の位置を変えないようにし、また仲居を呼ぶブザーをお客さまの手の届く位置に置くことも忘れないようにします。

 ●バイキングスタイルのお食事のサービス

 お声がけをしてから、お客さまのお好みの料理を取って差し上げるなどのサポートが喜ばれます。

 ●チェックアウト・お見送り

 決して急かした態度をとってはいけません。混雑するフロントを避け、お部屋で行っていただくのも一つの方法です。部屋から玄関やお車まで荷物を持って差し上げます。

 金銭の受け渡しは、紙幣と硬貨を必ず声に出して確認しながら行います。

 ●盲導犬

 盲導犬を連れたお客さまは館内で抜け毛が散らばらないように、到着前にブラッシングをしておくことが必要です。予約段階でお客さまにお願いしておきます。もし館内が抜け毛で汚れるようなら、お客さまに対処していただくようにお願いしましょう。

 その上で、盲導犬に対する正しい扱いを覚えておきましょう。盲導犬は視覚障害者の目となるパートナーです。そのため一般の犬に接するように、触ったり声をかけたり餌をあげるような行為をしてはいけません。お客さまが握っているハーネスもけっして触ってはいけません。

 入館時は、お客さまにお願いして盲導犬の足を拭いていただきます。気を利かしてスタッフが行ってはいけません。タオルは事前に用意しておきましょう。餌はお客さまが持参されますから、旅館ホテルで用意することはありません。トイレもお客さまが責任もって処理をします。旅館ホテル側は、敷地内で盲導犬が入れる場所をあらかじめお客さまにお知らせしておきましょう。

 目の不自由な方をサポートする盲導犬の他に耳の不自由な方には聴導犬、身体の不自由な方には介助犬がいてサポートを行います。

   *    *

 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。
       

 
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