【旅館ホテルのおもてなし 25】ご予約からお見送りまで12 大谷 晃


 ●お食事の提供(部屋食の場合)

 旅館ホテルに宿泊する楽しみの一つは食事にあるといっても過言ではないでしょう。地元の料理に舌鼓を打ちながら、お連れの方と楽しい時間を過ごす。その演出を心を込めて行うのが仲居の仕事です。お部屋に入るときは、「おくつろぎのところを失礼いたします」と一声添えます。

 お料理をのせたお盆は畳の縁に平行に置きます。お料理は上座から出すのが基本です。お子さま同伴の時は、お子さまから先にお出しします。サービスをしている間は、お部屋の入り口のドアは開けておいてもかまいませんが、廊下から中が見えないように、襖は必ず閉めておきます。

 ■外国人のお客さまの場合

 近頃は、箸を上手に使う外国人が増えましたが、それでも初めての方は大勢います。基本的な箸の使い方は説明しましょう。

 料理によっては外国と日本ではマナーが違うことがあります。例えば麺類です。外国では麺をズルズルすするのは行儀が悪いとされ嫌われますが、日本では許されます。

 また、外国人のお客さまが困惑されるのが調味料です。どれもよく似ていて、初めて目にする物が多いからです。例えば、しょうゆとソース。日本人ならすぐに見分けがつきますが、外国人には違いが分かりません。そのため手をつけなかったりします。ただテーブルに並べるのではなく、「このお料理にはこれをおかけください」と、一言加えます。また、天ぷらに塩を付けて出す時も、首をひねるお客さまもいらっしゃるでしょうから、「これは特別な塩です。つけて食べてもおいしいですよ」と添えれば、お客さまも食べてみようと思います。他には、わさびを知らない方もいらっしゃるでしょうから、その使い方も教えて差し上げましょう。

 単にテーブルに並べるだけが仕事ではありません。分からない方に食べ方まで教えて差し上げるのも、おもてなしです。

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 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。
       

 
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