私の視点 観光羅針盤
2026年3月27日、「第5次観光立国推進基本計画」が閣議決定された。本計画は、コロナ後の回復を経て、日本の観光を「量の拡大」から「質と持続性」へ転換させる中長期方針である。柱は、(1)持続可能な観光地域づくり、(2)インバウンドの質と量の拡大、(3)国内交流の促進である。従来の延長線に見えるが、中身は次の段階へ踏み込んでいる。
共通項として、2030年の訪日外国人旅行者数6千万人、消費額15兆円の目標は維持された。一方で今回、見逃せないのが国内旅行消費額30兆円という目標である。従来の22兆円から引き上げられたこの数字は、単なる上積みではない。インバウンド偏重から脱却し、国内需要を基盤市場として再定義する意思が示された。
ただし、この30兆円は15兆円以上に難易度が高い。インバウンドが需要を「取り込む」政策であるのに対し、国内は需要そのものを「創る」必要があるためだ。レジャーにとどまらず、出張やワーケーション、日常的な体験消費まで含めた需要拡張が前提となる。観光を“非日常”から“日常の選択肢”へと変える構造転換が求められている。
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