【旅館はもっと良くなるべきだ 旅館経営 タテ・ヨコ・ナナメ 127】新型コロナウイルスへの経営対応14 GoToトラベルの最大限利用 リョケン代表取締役社長 佐野洋一


 Go Toトラベルは、旅行需要喚起策としてかつてない(おそらくは今後もない)巨額の支援措置である。こんなチャンスはまたとない。10月1日から、いよいよ東京も適用対象とされることになった。このチャンスは決して逃すことなく、最大限の利用を図るべきと思う。ところが多くの旅館ではまだ、「コロナで落ちた分を、Go Toでいくらか補えるかな」ぐらいにしか考えていないように思われる。

 他力本願の構えでは、やることもそれなりにしかならない。だが今、この状況をなんとかしたいと本気で思うなら、「Go Toに期待する」ではなく「Go Toで伸ばす!」という明確な意思を持って臨みたい。そして「Go Toで伸ばすには?」と考えることだ。

 「割引対象」として掲げるプランも、現在のニーズ変化に合わせてこの際、ターゲット想定や提案内容をいろいろと変えてみてはどうか。例えば、対象を県内と近隣県に絞った特別プランを出すとか、新しいニーズの取り込みを狙って、これまでとは違う多様な利用プランを出してみるといったことも考えられる。

 登録事業者であることをアピールすべきことについては以前も述べたが、そのあたりも、やるならもっと突っ込んでいきたい。例えば、Go Toの扱いについての説明だ。「詳細は『キャンペーン事務局』サイトでご確認ください」とリンク先を示しているだけのケースがよく見られるが、これではとりつく島もない。予約・割引適用の流れや手続きなどについて、より具体的で分かりやすい表示をすることをおすすめしたい。

 Go Toトラベルの仕組みはまことに複雑で面倒である。ルールや手続き、各種ケースを想定したQ&Aなどを読むだけでもひと苦労だ。それらを調べた上で自館用にアレンジして表現するのは大変だし、内容に間違いがあってもいけないので、そんな面倒は避けたい気持ちはよく分かる…が、しかし!である。

 その面倒を厭(いと)うべきではないとあえて言いたい。理由は二つある。一つは、旅行業者やOTAでは、いずれもそれらに関する詳細な情報を掲出していること、もう一つは、お客さまにとって、より懇切丁寧に説明されているところの方が安心して利用できるということだ。ここ一番、煩わしいことにどれだけ取り組むか、その差が商売力格差、経営力格差となるのである。

 10月1日から、地域共通クーポンの利用も開始される。これは旅館内にある飲食店、売店なども利用対象となるので活用したい。ただしそのためには、宿泊施設とは別にクーポン取扱店舗としての登録が必要である。またついでながら、いくつか注意を要する点があるので、重要なポイントを掲げておく。

 (ⅰ)Go To Eat事業の対象となる飲食店は、同事業としての登録も受けている必要がある。

 (ⅱ)カラオケ、ライブハウスは対象とならない。

 (ⅲ)有効期限の過ぎたクーポン、利用対象エリア(旅行先および隣接都道府県)でないクーポンは受け取りを拒否する。

 (ⅳ)紙クーポンの場合、換金請求は、印字されている有効期限の末日を含む月の翌月の第2締め日までにしなければ、換金に応じてもらえない。

 (株式会社リョケン代表取締役社長) 

 
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