前回コラムでは、決算書と固定資産税の課税明細書から自社株の評価額と相続税の概算額を把握する方法を述べた。今回コラムでは、その株をいつ次世代へ承継し始めるかを考えたい。
株の生前贈与は、経営の承継時期が来てから考えればよいと思っている人が多い。しかし旅館・ホテルの経営者の場合、それでは後々苦労することになりかねない。黒字経営を続ける宿では、純資産の蓄積とともに株の評価額が毎年上がっていく。相続まで株を持ち続ければ、評価額が最も高くなった時点で課税の洗礼を受けることになる。株を動かすのが遅くなるほど、相続税の負担は重くなっていく。
対応の基本は、贈与税のかからない年110万円の枠を使い、毎年少しずつ株を移していくことである。注意したいのは2024年の改正である。死亡前の贈与を相続財産に加算する期間が、3年から7年へ段階的に延長された。晩年に始めた贈与は相続税の課税対象に戻されやすい。オーナーが元気なうちに始めるほど税対策として効果的だ。
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