【岐路 バスと観光 新たな関係 139】バスと観光のこれから8 高速バスマーケティング研究所代表 成定竜一


 一般旅行者が、「ここに行ってみたい」と感じて(旅行会社やデスティネーションの立場としては、そう感じてもらえるようプロモーションを実施して)から手配(予約)が完了するまでの「旅行流通」(認知から予約まで)において、「旅程作成」というフェーズがボトルネックになっている、というのが筆者の認識である。

 富裕なシニア層など特別なケースを除けば、旅行会社のカウンターで人手をかけてじっくりと相談に乗る、というスタイルが一般的になるとはちょっと思えない。コストの問題以上に、予約来店といったハードルの高さを一般旅行者が受け入れることはないだろう。

 将来的には、人工知能(AI)が大量のデータを分析し、個別の旅行者の興味関心に基づいた旅程を自動生成することもあるのだろうが、それにはもう少し時間がかかりそうだ。

 そもそも、一人一人の旅行者の「琴線に触れる」旅行を提供しなければツーリズム産業の未来はない、という流れの中にある話だから、中途半端な個性や完成度の低い旅程であれば、「旅行会社のパッケージの方がマシ」という話になってしまう。

 筆者自身、具体的なサービス内容を思いついているわけではないが(思いついていたら既にサービス開発に着手しているはず。ビジョンに共感し協業をご検討いただける方がいらっしゃったらぜひご連絡いただきたい)、ごくごく一般的な旅行者の「あそこに行きたい」「こんな体験をしてみたい」というあいまいで漠然とした希望を、最適な旅程として生成するサービス(おそらくはウェブ上のサービスまたはスマホアプリ)を誕生させることが、ツーリズム産業にとって最大のイノベーションになるはずである。

 旅行の「流通」のあり方が整って初めて、より個性的で多様な着地型コンテンツを筆頭に、「商品」サイドにおいても個人旅行への対応をより深めることが可能になるだろう。

 仮にそのような環境を得たとして、それでは、個人旅行時代に求められるバス商品とはいったいどのようなものになるのだろうか。

(高速バスマーケティング研究所代表)

 
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