【岐路 バスと観光 新たな関係 118】どう解決 乗務員不足 高速バスマーケティング研究所代表 成定竜一


 バス乗務員専門の求人情報サイトを運営する中で、新たな気付きもあった。

 バス事業者の人事部採用担当チームは、これまでも自社の待遇改善や職場としての魅力づくりについて真剣に考えてきた。バス車内に掲出する求人広告の制作などを通し、それらを言葉にすることも続けてきた。

 しかし、「バスドライバーnavi(どらなび)」では、サイト上に掲載する広告原稿の案を、サイト運営会社の担当者が制作して事業者側に提案する。複数の事業者を横断的に担当するサイト側のスタッフは、各事業者の待遇や働き方、社風を客観的に比較することができる。結果として、当事者にとっては当たり前だと思われていた各事業者の特徴が、サイト上で明確に表現されるようなった。

 そもそも、例えば宿泊予約の分野において、OTA(予約サイト)が普及したことにより、旅行会社パンフレットなどに比べて消費者側が手にする情報量が増大したことで消費者自身による比較検討が容易となり、その結果、宿泊施設や宿泊パッケージが多様化したことから分かるように(高速バスの分野でも同様の動きがあった)、比較検討が容易なサイトが登場することで、各プレーヤーがより個性化を図ることは多くの分野で共通である。

 比較検討する手段が未熟なフェーズでは、なるだけ幅広いセグメントから不満を抱かれないよう最大公約数的な商品作りが重要で、逆に言えば各プレーヤーが「金太郎あめ」になりがちである。それに対し、十分な比較検討が可能になると、ターゲットとするセグメントを明確化し、そのセグメントに訴求する商品を作らなければ、凡庸な商品とされ多数の競合の間でうずもれてしまい選んでもらえない。

 バス乗務員採用の分野でも、ようやくそのような流れが生まれたのである。

 先に挙げた「女性乗務員専用の休憩室」のように、自社がほしい人材から逆算して、各事業者が採用拡大に向けた施策を実施するようになった。

 (高速バスマーケティング研究所代表)

 
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