【体験型観光が日本を変える348】地震のあった南予は魅力的な地域 藤澤安良


 元日の能登半島、そして4月3日の台湾の花蓮県に次いで、東北や宮崎でも地震が相次いだ。17日には愛媛県南予地域に震度6弱という大きな地震が起こった。私も当地をお手伝いしている関係から被害の状況が気になって現地に確認した。震度の割に被害は軽微のようで、マスコミの現地からの被害報道も少ない。耐震基準は強化されつつある。

 そんな中、このたびまた、自動車産業で相次いだ検査データの改ざんや虚偽申告に続いて、高速道路や羽田空港の滑走路などのアスファルト舗装の原材料がリサイクル資材であったことを請け負った会社が発表した。
 強度が問題ないのならリサイクルは時代の潮流であるが、強度は減少するとの専門家の話もあり、発注者側との折り合いを付けて利用しなければならない。道路も滑走路も人の命に関わる問題なので、虚偽での仕事は企業倫理にもとる行為である。

 私はその空港を利用し地震発生の6日後から、愛媛最南端の愛南町や八幡浜市など南予7地区に入り、体験交流推進のための講演に向かった。地域には、宇和島城や大洲城、歴史的なまち並み内子町、美しい海岸線と宇和海、ミカンなどかんきつ類の生産地であり、魚種と漁獲量も多く、1次産業も盛んで魅力的な地域である。

 しかし、観光施設や温泉地はなく、宿泊施設もビジネスホテルが多く、観光旅館はほとんどない。その自然も農林漁業など資源を活用し、体験交流や教育民泊を中心に教育旅行での誘客が進んでいる。これらのビジネスモデルは25年前から推進しており、過疎、高齢化が進む地方の活性化に極めて有効な手段である。

 修学旅行などの教育旅行は観光地巡りやテーマパークなどの物見遊山から、人と人の交流から人間関係構築能力向上を目指したり、都市では体験できない自然体験、農山漁村の食料生産現場での食体験からの食育、さらには地震国日本では、いつ何時どこで起こるかわからない地震に対する防災学習もこの地域では経験を踏まえて学ぶことができる。

 その学びの素材は山ほどあり、教育効果が高いことが広く認知されるようになり、そのニーズはコロナ後さらに高まっている。人口が都市に集中し続けて最後は東京である。つまりは、普段の暮らしとは違う環境を求める。

 余暇の過ごし方の代表的な旅行は、地方や田舎ということになる。それらの魅力を情報発信をし、交流人口拡大と観光振興を図ることにより、その可能性が高まったり、地域振興につながることになる。知られていないところ、仕事に頑張っている人がいるところ、伝統の芸能や工芸、長年続いている祭りや行事なども、日本の魅力である。

 インバウンドにとっても魅力的な観光資源となる。具体的に動くためには、地方ではリーディングカンパニーであり、本来の役割を担っている首長をはじめとする行政の意識改革と予算化と行動力が不可欠である。さらには、担い手の確保とそれらの人々の意識醸成である。私はそのために東奔西走の日々を過ごしている。

 
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