【体験型観光が日本を変える345】活気あるバンコク、日本の少子化痛感 藤澤安良


 桜の便りが聞けぬまま東京からタイに飛んだ。タイの首都バンコクと古都チェンマイを訪ねた。春休み中ということもあり、成田空港はとても混雑していたが、日本人の出国よりも、訪日外国人の帰国や乗り継ぎ客の多いことに驚かされる。

 今回の4行程の航空機も日本人より外国人が多く、ほぼ満席状態である。円安の影響も大きいことから、日本が取り残されている中、世界は活発に動いているという感じがする。

 チェンマイのナイトマーケットは地元の人と観光客でとてもにぎわっていたが、ここもまた日本人はほとんどいない。衣類や装飾品、あるいは食事などは日本より少し安く感じる。古都らしく町の中心には寺院が多い。

 日本の古都京都の寺院のわびさびとは違って、仏像や仏塔はいずれも大きく金色に輝いている。見栄えはするが、いずれも興味が薄い者には似たように見えてしまい、変わり映えしないことになる。

 バンコクも名だたる観光地の多くは寺院である。市街地はビジネス街で昼休みには若者が町にあふれ出る。たくさんの若者が働いている。中高年の姿は少ない。街には活気があり、希望がみなぎる国のように見えてしまう。わが国にとって人口減少、少子化はとても大きい問題であることに改めて気づかされることになる。

 1週間ぶりに東京に戻るとようやくソメイヨシノの開花宣言となった。海外に出掛けにくい状況なら国内旅行が活発になってほしいものである。各地から桜の開花宣言、北陸新幹線延伸、北陸応援割、と観光にとって好材料が続いている。

 さらには、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が米アカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞し注目が集まる中、愛知県のジブリパークが「魔女の宅急便」と「ハウルの動く城」のエリアが完成し全面開業となった。

 3月29日、JR東海より、リニア中央新幹線の静岡工区が手がつけられず、2027年開業を断念するとの発表があった。沿線の多くの期待を担っていただけに極めて残念なニュースとなった。

 また、時間外労働上限規制の「2024年問題」も、バスやタクシーの運転手の労働力確保と賃上げと料金値上げの狭間で、大きく観光のスタイルが変わる方向となる。つまりは、走り回る周遊ルート型から滞在型のエリア観光になる。名所旧跡神社仏閣以外の新しい観光資源が求められている。

 農林水産業体験や食文化や豊かな自然に深く入り込んだ旅など、今までと違う視点でのコンテンツ開発が求められている。さらには、人は人から学び、人から元気や勇気をもらって生きていることからも、「人」にスポットを当てれば、キラーコンテンツが見つかる。

 バスの台数が求められる修学旅行も観光地を巡る形態から、体験交流プログラムやSDGsや課題解決プログラムなどを探究学習の手法で推進する次世代型の教育プログラムで、教育民泊を利用したり、連泊滞在型に変わるべきタイミングである。新年度が始まり、新しい観光の未来を切り開く年にしたいものである。

 
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