【体験型観光が日本を変える305】G7サミットの成果、どう生かすか 藤澤安良


 厳戒態勢の中、G7サミットは広島で主要7カ国に加えてEUが2人と計9人で始まったが、途中からオーストラリアやインド、ブラジルなど招待国8カ国と、国連やIEA、WHO等世界的な七つの機関も招待されて広島に集まった。

 さらにサプライズは、目下戦時下にあるウクライナのゼレンスキー大統領まで駆け付けた。とても豪華なメンバーとなっただけに、世界の注目度は高まり、成果に対する期待は膨らむばかりである。

 それらの要人が平和記念公園を訪れ、資料館の視察をした事実は極めて意義深いことでもある。被爆地・広島での開催がその後の世界にどのような影響をもたらすのか、今後の各国の首脳の行動や政策に注目したい。

 開催に際して警備や準備、会場や運営経費など多くの費用がかかったことは容易に想像ができる。さらには、交通規制等多くの規制に阻まれ、商店や飲食店等は休業に及んだ場合もあった。半面、開催国であり議長国の日本や広島はマスコミにより世界中にその様子が発信された。今後の観光や物産・物流にも大きな影響を与え、経済効果がつながる可能性を持っている。それらのマイナスを凌駕(りょうが)する経済と平和につながることを期待したい。

 今回の出来事は世界的な外交システムの中で発生しており、国民や市民の努力の成果ではない。この機を好機と捉え、インバウンド拡大に向けて自らが行動すべき時である。

 一方で、国内旅行は全国旅行支援やゴールデンウイークに後押しされて5月上旬までの好調さは全国旅行支援の枠が底をつき始めると陰りを見せ始めており、6月の予約状況が伸び悩んでいる。いよいよアフターコロナの局面に入って来ており、政府の後押しばかりに頼ってはいられない。

 観光産業は3年間のコロナ禍のブランクを埋める行動を起こさなければ、泥沼から抜け出せない。しかし、もう3年前に戻らないことも多い。このところ宿泊代金が物価高に乗じてと言える率をはるかに超えた値決めが多い。インバウンドの増加や全国旅行支援があることをいいことに、料理も施設も変わらないのにムード便乗値上げが起こっている。

 また、ツアーバスや団体旅行の動きがとても悪い。それは、国民のニーズにマッチしていないありきたりの観光地巡りや、全国どこに行っても同じ料理の繰り返しでは魅力を感じなくなっている。新しい場所で新しいことが求められている。それは、もはや観光地である必要もない。

 人々の暮らしの営みに驚きや感動があり学びがある。人との交流やコミュニケーションに喜びがある。そして、旅人の心が高まることになる。さらに、旅先の生産地で採れた食材による食事と地元のお酒は旅の醍醐味(だいごみ)である。

 それらは、1次産業を守り続ける人、匠の技を伝えている人、郷土の料理を教えてくれる人、強くたくましく、優しく慎ましやかに生きている人がいれば日本国中どこでも可能である。人が人の生き様に学ぶ旅である。今の時代に最もぜいたくな究極の旅の姿でもある。売れる商品は固定概念の打破から始まる。

 
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