【体験型観光が日本を変える263】全国旅行支援策、延長も視野に 藤澤安良


 全国的に梅雨入りし、梅雨の合間の晴れ間とともに、夏日や真夏日となるなど気温が上昇し、ビアガーデンでの飲み会の映像が流れていた。ビルの屋上で換気は言うことないが、大声での会話が飛び交っていた。

 札幌では北海道神宮の例祭である札幌祭りが開催され、テレビ画面からではあるが、神道の信者とは思えない若者中心に大変なにぎわいであった。

 結局、日本人は人と話をしたり、大騒ぎが好きで、お祭りや、たいしておいしくなく少し高めのいつもの屋台で物を買い、人が集まるところが特段好きなようである。ウクライナの惨状と比較にもならない平和な光景である。しばし、立ち止まってこれでいいのだろうかと問いかけている。

 経済は動かしたいが、気のゆるみが第7波の引き金にならねばいいのだがと思う。

 そんな中、政府は新型コロナ経済対策としてGo Toキャンペーンに代わる政策として「全国旅行支援策」を7月前半からお盆を除く8月末までの間で、ワクチンの3回接種と検査の陰性証明を条件に実施すると発表した。

 全国的な行き来が可能な県民割の拡大版であり、Go Toの反省点を生かした制度であると期待したい。惜しむらくは、夏場の行楽シーズンとかぶるので9月以降への延長が求められる。

 心配事もある。国家財政の投入であり、特段行きたくもないが、とにかく使わなければ損だとか、無理に、妥協しながら旅に出るようなことがあっては浪費になる。ずーっとやってみたいと思っていたこと、いつかは行ってみたいと思っていた所、一度は泊まってみたい宿など、待望やあこがれ、あるいは夢の実現のための旅であってほしい。

 支援制度があったから訪れた旅人、制度が終わると来なくなる宿になってはならない。受け入れ側の地域や観光施設はこの好機に、普段やれないこと、徹底的な地産地消の地元の新鮮な旬の味覚を提供し、夢やあこがれや地域色を出すために何ができるか周到な準備をすべきである。そして、一過性に終わらないリピーターの獲得に向かわなければならない。呼び水であり起爆剤である。

 観光業界は、いつも価格による顧客満足度が一番先に来る。お客の感動や心の高まりには着目できていない。旅の文化度か上がらない理由でもある。いい機会である。コロナ後の再出発に向けて、お客にとって特別な旅を提供することに力点をおくべきであろう。

 もはや、交通機関と宿泊施設と観光施設の組み合わせなら、ネットですべて予約が可能な時代である。それらを格安に仕入れて、割安に売るだけの仕事なら未来は危うい。過日は、地方で旅行会社社員と現場でSDGsプログラムの開発造成を行った。

 受け入れ地域も、旅行会社も勉強になったし、ためになったと喜んでいた。つまりは、誰も悲しまず、みんなが心も経済も豊かになる仕組みがある。コロナは人間に大きな試練を与えたが、改革し飛躍するヒントも与えた。旅行業界がもっと社会に貢献し、社会に求められる存在に向かう時である。

 
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