【体験型観光が日本を変える195】21年は未来につながる年に 藤澤安良


 新型コロナウイルスの感染者が増え続けている中で、正月を前にし、Go Toトラベルキャンペーンの一時停止が発表された。観光や帰省で動く時期であり、観光関係者にとってはいわば書き入れ時に水を差す形となったが、高熱でウイルスと闘う感染者や医療関係者を思えば、打ち水のように考えたいものである。

 Go Toは1月末で終了予定が6月まで延長するとしていることからも、感染者が減少すれば再び追い風が吹くことになる。先の需要増が担保されていることからも、年末年始を台風のように何とか持ちこたえ、次に備えるべき時であろう。仮に継続していても、拡大する中での飲食や旅行や帰省はいささか肩身の狭い思いがして、心底楽しめないかもしれない。

 旅館・ホテルの正月用食材の仕入れは、感染が少ない地元客誘客につなげることである。正月料金でもうけることではなく、コストを割り込まない程度の価格設定で感謝セールをやってもいいのでは。

 首都圏の4都県の知事の要請もあり、都市圏の鉄道会社が大みそかから元旦までの初詣対応の終夜運転を取りやめることとなった。また、きっと創業以来、年末年始を休んでいない宿泊施設が多いのではないか。つまりは従業員も家族でのお正月を過ごせていないことになる。

 経営者の度量によるが、思い切って年末年始を休館にし、働く人にも正月食材を提供し家族での正月を過ごしてもらうことがあってもいい。さもなくば、三が日明けから11日までの間の数日間の休業は合理性がある。

 PCRの検査料が都内で1980円や2900円などと安くなってきている。抗原検査も拡大すれば金額が下がってくるといわれている。高熱などの症状が明白な人や重篤者は現在もキャッチできているはずだし、そうした検査が普及し今まで以上に一時的に無症状や軽症者が増えても、街中で動かずホテルなどで療養し、回復を目指すなら、徐々に感染者数を抑えられるはずである。さらには、ワクチン競争が激化する中、安全で早まることを期待したい。

 20年は形容詞が見当たらない散々な年であった。21年は人類の英知と努力で、つまりは、検査とワクチンと感染防止対策で例年需要を維持できるようにしなければならない。22年以降は今までの固定概念の多くを打破し、20年の試練から学び生かし、人間の命や暮らし、さらには心の豊かさにスポットを当てて、新たなる価値創造で未来に向かう必要がある。

 私も帰省を断念した。感染者がほとんどない地方では、感染者が出るとすぐに個人が特定されてしまう。いつでもどこでも誰でも感染の可能性がある都市とは大きな違いであり、都市と地方には新型コロナ感染の受け止め方にも医療体制にも格差が大きい。

 子どものころ、田舎の家には農耕用の牛を飼っていた。馬のように速くはないが、粘り強く一歩ずつ着実に前進して畑を耕してくれた。牛が買われていく時、牛も私も泣いた。今年はその「丑(うし)年」である。牛にあやかり、未来につながる年にしたい。

 
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