【体験型観光が日本を変える 176】Go To トラベル事業 体験体験教育企画社長 藤澤安良


 新型コロナウイルスの感染者数は、東京での7月23日の366人をはじめとして、首都圏や関西圏、中部圏でも毎日のように記録を更新しながら増え続けている。その最中で、「Go Toトラベルキャンペーン」が東京都民と目的地が東京である旅行が除外された。
 修学旅行を巡っても、評価が分かれている。地方から東京を目指す修学旅行は少なくない。埼玉、千葉、神奈川の県民が羽田空港から旅立つ場合には適応されるなら、東京通過はいいことになる。

 目的地は千葉のディズニーリゾートで、通過地点である国会議事堂に立ち寄る旅行はどう分類するのか。目的地は日光であるとして、東京を通過する時にトイレ休憩を兼ねてスカイツリーに立ち寄るのはよいのか。宿泊地なのか、見学地で決めるのか、その条件は何か、線引きが定かでないし、学校によりコースや中身が違うことからも難しい判定を迫られることになる。

 修学旅行は教育の一環であり、需要喚起ではなく元々計画された旅行であり、旅行費用は多くは積立てており、値引きする必要性は全くない。春から秋への日程変更で、JRや航空会社でシーズナリティや割引運賃に配慮したり、3密を避けるためにバスの台数を増やす場合は、すでに地元行政で負担している。

 そんな中、同キャンペーンは参加する旅行会社や宿泊施設が未確定のまま開始された。27日までは、旅行者自身が還付金請求をするというシステムでありながら、還付請求の書類がダウンロードできないままである。国家プロジェクトとしては未熟だが、コロナ怪獣を相手にしているようなものであり、事務手続きや現場への徹底が予定通りいかないのは予想されたことであり、半ば諦めもあり許容範囲である。

 そんな中、このキャンペーンを巡って、推進すべき政府見解と時期尚早や感染が収束に向かってからなど地方の知事との意識に齟齬(そご)があることも否めない。双方での議論が尽くされた形跡がない。

 旅行に行きたい人と、今は来てほしくない受け入れ地域との意識の違いは、仮にお金は動いたとしても、本来の旅のあるべき魅力や姿とはかけ離れてしまう。旅先の受け入れ地域で、歓迎されないほど味気ないことはない。

 国家からの税金を投入しての補助金なので、旅客にも、受け入れ施設にも健康管理や安全対策の条件を整理し、リストアップし、それらを徹底すべきである。双方の信頼関係が成り立つ条件の中での実施が不可欠である。つまりは、安全対策ガイドラインを提示し、それを順守することを条件とすべきである。

 誰に遠慮することもない。これ以上感染拡大を起こさせないよう強いメッセージを発するべきである。もちろん、数カ月にわたって言い続けているPCRや抗原検査を徹底し、陰性で旅に出かけられるシステムこそ急ぐべきであり、第一優先順位であることは違いない。除外地域ではなく、感染の特定である。感染者が動かず治療や療養をすることで、全ての道が開かれることになる。今こそ決断と実行の時である。

 
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