【体験型観光が日本を変える 115】「令和」はどんな時代になるか 体験教育企画社長 藤澤安良


 新元号が何になるのか、国民の多くがテレビの前に釘付けで、固唾(かたず)をのんで見守る中、「令和」が発表され歓声が上がると思いきや、「エーッれいわ」と戸惑いのリアクションであった。おおかたの予想を覆した結果となったようにも思える。しかし、街中で配布された号外には黒山の人だかりで、われ先にと奪い合う姿は注目の高さを物語っている。

 さらに、日本最古の文学書「万葉集」の序文が典拠とあって、にわかに愛着が湧いたり、その文章の解釈が明らかになると、多くの国民が支持するようになったのではないか。

 元号考案者、あるいは元号懇談会メンバーのコメントで、結局伏せていたさまざまな情報が出てきている。それらについては、決まった後なのでとやかく言うより、間近に東京オリンピック・パラリンピックに続いて大阪万博も控えており、令和に込められた願いがかなう新しい時代になってほしいものである。

 時折しも新入社員の入社式が開催されるタイミングでもあり、新しい時代は、ワンマンや放漫経営、パワハラなどは古いしなじまない。ポジションは役割分担なのに、私は偉いと勘違いしている人があまりにも多い。新時代は他力本願ではなく、逃げることなく、組織の単なる歯車ではなく自分をしっかり持ってほしい。さもなければ新しい時代は開けない。

 拠点は東京だが、過日は大阪、京都、名古屋と訪れた。新幹線も拠点駅はいつも人が多く、多分に訪日外国人が増え続けていることが大きい。飲食店も混雑が目立つ。訪れた新宿の回転ずし店では客の8割以上が外国人であり、肩身の狭い思いであった。

 わさびを自分の箸で取って外国人店員に注意されたり、ホテルのブッフェでデザートのいちごを3人で約50個も取ってくる姿があるなど、モラルやルールの徹底が課題である。

 訪日外国人に対しての説明や案内が不足している。急激に増え続ける外国人に対する対応が追いついていない。経済ばかり気にするのではなく、日本のきめ細かいサービスやルール、モラルを含めて日本の格調高い文化なのである。食事や土産と分かりやすい消費行動だけではなく、文化と体験からの消費が商品となる。さらには、あまりにも人が集中する都市ではなく、地方都市にも、さらに奥地の田舎にも分散しなければならない。

 しかし、幸いにも、豊かな自然と新鮮な食材は生産現場の田舎にある。その田舎料理のおいしい作り方と食べ方を学び、押しのけ、蹴落とし、足を引っ張り合わなくて良い地域コミュニティがあり、人情豊かで純粋な心を持つ人々がいる。旅人が学び、感動し、心高めるために必要な資源が豊富にある。風も波も地方に向いているが、具体的に動く人があまりにも少ない。

 統一地方選挙の真っ只中であるが、極めて具体的な地域振興策として体験型観光推進を錦の御旗とし政策の柱とすべきである。多くの講釈より、確かな行動が新時代に求められている。

 
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