【交通トレンド分析8】海外では大手航空会社も預け入れ荷物が有料 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 近年、LCC(格安航空会社)が日本でも浸透してきたこともあり、預ける手荷物が1個目から有料というスタイルにも慣れてきている。有料のデメリットとしては、機内持ち込みサイズ(多くのLCCでは7キロ、フルサービスキャリアは10キロが多い)のみで旅行をしている人が旅行先でお土産を多く買ってしまうと重量をオーバーしてしまうことからお土産の購入を控えたり、荷物にならないものに限定してしまうケースも出ている。筆者自身もLCC利用時はできる限り7キロまでに抑えるようにしているが、2泊以上で明らかに厳しいときは預け手荷物のオプションを追加するようにしているのが実情だ。

 そのような状況の中で海外へ出張や旅行をしていて最近感じることが、ヨーロッパ内や北米内のフライトにおいて、LCCのみならずフルサービスキャリアの航空会社でも、エリア内のみの航空券を安い運賃で購入すると、LCC同様に預ける手荷物がある場合にオプションを追加しなければならないケースが増えている。

 追加料金は航空会社や区間によって異なるが大体1区間で1個3千円程度が相場になっている。筆者がこの半年で利用したエールフランス航空やオーストリア航空でも同様であり、荷物がある以上はオプションを付ける必要があり、筆者も実際に支払っている。アメリカでは大手3社(ユナイテッド航空、デルタ航空、アメリカン航空)もアメリカ国内線においては1個目から30USドル、2個目は40USドルとなっている(国際線からの乗り継ぎ時やマイレージの上級会員は無料)。

 手荷物のオプションを付けることで、その分運賃を安くしてLCCに対抗するという側面もあるが、フルサービスキャリアは預け荷物無料が当たり前だと思っている日本人にとってはまだ慣れない仕組みだ。有料化によって、昔以上にヨーロッパ内やアメリカ国内線で機内持ち込みする利用者が増えており、座席上の収納スペースの争奪戦が日々展開されている。

 手荷物に対するスタンスとして、預ける手荷物はコストになるという考え方だ。逆に国内大手2社のANAやJALは機内持ち込みよりも、機内の混雑緩和やスムーズな搭乗のためにチェックインカウンターで荷物を預けることを推奨している。これは利用者の快適性につながることが目的であり、当面有料化にする動きはない。日本国内ではフルサービスキャリアは無料、LCCは有料というすみ分けがしばらくは続くだろう。昔以上に荷物の重量を考えて旅行をしなければならない世の中になってしまった。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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