【交通トレンド分析237】リニア開業で静岡・浜松駅に「ひかり」2本停車? 鳥海高太朗


 当初は2027年に開業予定だった品川駅と名古屋駅を結ぶ予定のリニア中央新幹線。品川駅と名古屋駅間を最速40分で結ぶ計画となっているが、工事の遅れから27年度の開業を断念するという方針が明らかになった。
 その大きな要因といわれるのが静岡県内の工事が未着工である点だ。

 既に大きく報道されているが、リニアの工事によって静岡県内の大井川流域の水量が減る懸念から静岡県の川勝平太知事が静岡工区における着工を認めない状況が続いていた。

 川勝知事の辞職に伴い、5月26日に選挙が行われることが決まり、新知事が決まった段階で新たな方針が示されることになるが、リニア中央新幹線が開業することは静岡県内で新幹線を利用している人にもメリットが出ることが予想されている。

 静岡県内には、熱海、三島、新富士、静岡、掛川、浜松の6駅の新幹線停車駅があるが、特に乗降客が多い静岡と浜松の両駅は、日中時間帯は1時間に1本の「ひかり」と2本の「こだま」が停車する。

 東京、品川、新横浜の各駅から静岡へ向かう場合で見ると、1時間に3本の新幹線が停車するが、そのうち1本の「こだま」は途中駅で通過待ちがあるので、実質1時間2本の状況で、「ひかり」であれば1時間程度の乗車時間であるが、「こだま」の場合は1時間20分程度の時間を要することから、ビジネス利用者を中心に1時間に1本の「ひかり」に乗車することが多く、私自身も静岡でのレギュラー番組の出演があり、月に3~4回訪れているが、実質1時間に1本という考え方になっている。

 もしリニア中央新幹線が開業すれば、静岡県内には停車しない「のぞみ」の本数が減ることになり、「のぞみ」が減った分、静岡県内に停車する「ひかり」の本数が倍増する可能性がある。そうなれば、静岡や浜松には1時間あたり最低2本の「ひかり」が停車することになり、実質30分間隔となり、首都圏と静岡県内の移動がより便利になり、ビジネスはもちろんであるが、観光においてもプラスになることが期待されている。

 さらに数時間に1本の「ひかり」が停車する熱海、三島についても停車する本数が増える可能性も考えられる。一部の声としては「のぞみ」の静岡・浜松停車を期待する声もあるが、まだその議論をするのは先になりそうだ。

 どちらにしても静岡県の新知事が決まった段階で、具体的な開業へ向けたスケジュールが出ることを期待したいところだ。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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