【交通トレンド分析151】米国出発前PCRが不要に。でも勧める理由 鳥海高太朗


 6月12日より、ハワイを含むアメリカへ向かう際に日本出発の前日もしくは当日に必要だった新型コロナウイルスのPCR検査もしくは抗原検査の陰性証明書取得が不要になり、アメリカ渡航へのハードルは低くなった。

 従来は、前日もしくは当日に検査することが必須であり、地方在住者にとっては当日中に検査結果が出るクリニックやPCR検査センターが限られていることから、前日もしくは当日の朝早くに東京に移動して検査を受けていたケースも多かった。

 検査が不要で出発できるようになったことで、日本出発前のスケジュールは大変組みやすくなった。すでにヨーロッパやオーストラリア、東南アジアの多くの国では、国によってワクチン接種回数次第で運用が異なるが、3回接種を終えた人についてはほとんどの国で出発前の検査は不要となっている。

 イギリスやイタリアなど一部の国では、ワクチン接種なしでも検査不要になっているが、最近海外へ渡航している人の中で、日本へ帰国する際に必要な帰国便出発72時間以内のPCR検査で陽性が出るケースが少なからず出ている。出発前の検査がなくなったことも背景にはある。

 今、海外旅行へある程度自由に行けるようになったが、現地で陽性が確認され、帰国が大幅に遅れてしまうことを恐れている人も多い。帰国が遅れることで、特にプライベートでの旅行においては仕事に穴を空けてしまうことになり、海外旅行へ踏み切れない人も多いのが実情である。

 少しでもリスクを減らす意味でも、日本出発前に自主的なPCR検査を受けることを私は勧めている。自己防衛のための検査であることから陰性証明書の入手も不要であることから、木下グループのPCR検査や自治体によっては無料で受けられるPCR検査などで十分であり、あくまでも日本出発時に陽性になっていないことを確認することが目的である。

 ハワイでPCR検査クリニックを取材した際にも、従来はアメリカ入国に当たり出発前の検査が必須だったことで、ハワイ帰国前のPCR検査で陽性になる人は非常に少ないとのことだった。アメリカ渡航時の出発前PCR検査がなくなったことで、G7の国で唯一、日本のみが出発前PCR検査がある国となった。

 ワクチン3回目接種者だけでも、この運用が緩和されればもっと海外旅行へ渡航する人が増えそうだが、今年の夏休み中は継続される可能性が高く、日本人海外渡航者がPCR検査から解放されるにはまだ時間が掛かりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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