【シニアマイスター経営の知恵 84】オーバーツーリズムの現状 帝京大学経済学部観光経営学科教授 金振晩 


 近年、外国人観光客の増加に伴い、一部の観光地において、観光スポットおよびその周辺や移動手段である公共交通において、混雑の発生や、生活文化の違いに起因するマナー問題などへの地域住民の関心が高まるケースが出てきている。

 また、SNSなどの普及により、デスティネーションの多様化が進む中で、今まで観光地として知られていなかった場所が突然クローズアップされ、国内外の観光客が集中し、インフラをはじめ受け入れ環境の整備が追いつかないといった事例も一部で見受けられる。

 このようなことにより、地域住民の生活に及ぼし得るネガティブな影響についてメディアなどにおいて時々取り上げられるようになっている。

 オーバーツーリズムという用語は、2016年に米国の旅行業界向けメディア「スキフト(Skift)」によって初めて生み出されたとされており、UNWTOは、「観光地やその観光地に暮らす住民の生活の質、または訪れる観光客の体験の質に対して、観光が過度に与えるネガティブな影響」と定義付けている。

 一方で、「over」という用語は、相対的概念でもあり、人によってオーバーと感じる基準が異なるわけで、その基準を一律的に適用することが難しいのも事実である。

 いずれにしても、持続可能な観光を実現するために、向き合わなければならない重要な課題と言える。

 そこで留意すべき点として、観光庁は、「国際的な相互理解を増進するためにも“観光立国”の実現は不可欠であり、その際、訪日外国人旅行者の増加と、環境と市民生活との調和を図る“持続可能な観光”の実現は、乗り越えなければならない課題である」と述べている(平成30年度観光白書、p.111)。

 すなわち、オーバーツーリズムを観光先進国への通過儀礼として認識し、持続可能な観光の実現に向けては、行政のみならず、産業界や地域住民などのさまざまなステークホルダーの理解と協力が必要である。

 (NPO・シニアマイスターネットワーク会員、帝京大学経済学部観光経営学科教授 金振晩)

 
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