【シニアマイスター経営の知恵 52】風の中のすばる、砂の中の銀河


 新年明けましておめでとうございます。皆々さまのますますのご活躍を祈念申し上げます。

 中島みゆきの主題歌が印象的だったNHK番組プロジェクトX「東洋一の巨大ホテル、不夜城作戦」を学生と見たことがある。’64東京オリンピック開催に合わせ、着工後わずか17カ月、オリンピック開会式の9日前にオープンさせたホテルニューオータニの成功譚である。柔構造による高層ビル建設、ユニットバス、カーテンウオールの採用、回転レストランなど新技術新発想の話題が満載で秀逸な内容だった。

 今、都心では’20の東京オリンピック・パラリンピックに向けてホテル新設ラッシュが続き、倉庫、事務用ビル、マンションまでもがホテルに模様替え中と聞く。その加熱ぶりは前回以上ではないかとさえ思えてくる。

 施設面は充実しつつある。日本人が得意とする「おもてなし」でサービス現場も何とかなるだろう。しかし、次々に生まれるホテルのマネジメント人材は潤沢であるだろうか。人材不足でも現場力だけで乗り越えられるだろうか。「おもてなし」精神さえあれば、オリンピック・パラリンピック以降も経営安泰といくだろうか。

 現場力に関して言えば「おもてなし」精神に裏付けられたホテル・レストランのサービス能力を検定するHRS(日本ホテル・レストランサービス技能協会)の検定試験があり、既に多くの認定者を送り出している。業界標準が整っていると言っていいだろう。

 シニアマイスターネットワーク(SMN)では「ホテルマネジメント管理技能士(仮称)」という名称の経営者の標準化をはかるための国家検定試験制度を構築しようと努力している。都心か地方か、あるいは現在所属しているホテルのレベル如何に関係なく自分自身の能力レベルを判定できるのだから、努力目標にもなる。

 管理技能士の資格取得は無論のこと、その学習プロセスも本人の能力向上に役立つだろう。そのために、さまざまな研修研さんの機会を提供したいとSMNは本年中に開催すべく準備をしている。

 ところで、前掲のNHK番組を見たある学生の感想が面白かった。「確かに日本人はすごい。でも、もっと計画的にやれなかったの?」。結果オーライで済まされない。行政指導の問題であるかもしれないが、日本企業全般によく指摘される「現場サービスは一流、経営は二流」の汚名をそろそろ返上しなければならない。

 (NPO・シニアマイスターネットワーク会員 西武文理大学教授、川名幸夫)

 
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