【シニアマイスター経営の知恵 121】ひとやすみ、ひとやすみ NPOシニアマイスターネットワーク理事長兼一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会理事長 作古貞義


 あけましておめでとうございます。

 100年に1度といわれるコロナパンデミックの中、令和3年丑(うし)年の当会活動方針は、「座標と優先順位を決めてゆっくりと歩む」である。

 禅僧一休の座右銘「あわてない、あわてない。ひと休みひと休み」を目指します。

 ひとやすみとは、回りの雑念を離れて自分自身と向き合う機会と認識している。

 古来、経営とは変化対応の生業(なりわい)であり、座して待つことではない。

 宇宙飛行士ジョンヤングは、変えるにはリスクが伴う、変えなければもっと大きなリスクが伴うという言葉を記したが、意思決定権者の責任を語る言葉としては重い。

 自由経済社会で、マネジメントは適者生存の競争原理の中で孤独な決断が求められる。

 観光関連分野の成長は人の移動が前提であるが、コロナパンデミックによる移動の減少は、グローバルな社会、経済と連動して大きな傷跡を残すこと、さらに恢復(かいふく)は地域の趨勢(すうせい)、諸条件に左右されるので予測は難しい。

 マネジメントは課題解決の解をいくつ構築し実行できるかにかかっている。これは実技検定試験問題でもあるが、起案構築能力と実現可能性を問われる。

 国内市場は、少子高齢化という構造的な課題を負い、GDPはこの20余年停滞を続けているのが日本経済の実態である。インバウンド特需に支えられる領域は拠点を潤すが、長期を展望した政策、施策が見え難い。

 100年老舗数が世界一といわれるが、時代背景、環境条件の異なる中で生き残りを果たした先人の知恵の共通項は、核を守りながらも柔軟に時代環境に適応するトップの決断力が読み取れる。究極は人財投資なくして、組織の存続、継承はかなわないことを歴史が証明している。

 当会は2018年7月に職業能力開発促進法47条による大臣指定国家検定試験機関として、「ホテルマネジメント職種に係る技能検定職務を行う者」の指定を受け、宿泊産業のマネジメント能力検定に特化した試験機関である。

 コロナ環境で令和2年度12月の実技検定試験は自粛ムードであったが、参加された社会人、学生受験生からのうれしいコメントを受けた。

 コロナ禍で先の読めない時代であるからこそ、「自身のスキルアップ、キャリアパス」に備えて受験したとの熱意に試験委員が励まされたことを申し添え、新年のごあいさつに代えさせていただきます。

 (一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会理事長 作古貞義)

 
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