青少年旅行促進へ観光庁とUNWTOがセミナー開催


 アジア・太平洋地域における青少年ツーリズムについて話し合う「UNWTO青少年ツーリズム交流国際セミナー」が10日、大阪市の大阪国際会議場で開かれ、自治体、学校関係者、学生など170人が参加した。主催は観光庁、世界観光機関(UNTWO)、後援は大阪府、日本政府観光局(JNTO)、協力は国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)、立命館アジア太平洋大学(APU)、阪南大学。

 基調講演では、山川隆司・UNESCAPツーリズムユニットチーフがWYSETC(世界青年学生教育旅行連盟)およびUNWTOによる青少年ツーリズムの定義を説明。(1)年齢は16〜29歳(2)1年未満の旅行(3)親などが同行しない個人旅行であること、などを挙げた。また、空港などインフラ整備の充実、ローコストエアラインの登場などにより、同地域内のツーリズムは拡大していると説明。問題点として統計データがないことを挙げ、今後データ収集などの調査が必要とした。

 続いて、香港、韓国、タイ、オーストラリアから代表者がそれぞれの取り組みについて成果を発表。オーストラリアの成功事例として、政府がインターネット上でバックパッカーなど旅行者向けに農作物などの収穫を手伝う人を募集するサイトを紹介。農場などに泊まり、費用を抑えながら国内を旅行できるため若い旅行者たちに好評だという。

 日本の取り組みとして、前田弘・阪南大学教授が「日本の青少年が求めるアジア・太平洋各国理解のためのツーリズム交流の形態」をテーマに講演。青少年ツーリズムは物見遊山の観光から体験型のツーリズムに変わってきていると指摘。サステイナブル(持続可能な)・ツーリズムの一環として取り組むマレーシアのボルネオ島のエコツアーを紹介した。

 そのほか、湯浅勝史・大阪観光コンベンション協会学校交流コーディネーターが「訪日教育旅行における学校交流の現状」について、高松正人・ツーリズム・マーケティング研究所取締役マーケティング事業部長が「旅行業界から見た日本の青少年ツーリズム交流の現状と課題」についてそれぞれ講演を行った。

 パネルディスカッションでは、阪南大学の学生とAPUの留学生らが参加し、コーディネーターは高松氏が務めた。高松氏からは「日本は世界の青少年にとって訪問したい国か」「日本の学生は海外旅行に興味を持っているのか」などの問いかけに学生らは「情報を適切に相互に伝えることが必要」「学生は海外に興味があるが、どこに行くか、ではなく何をするかが重要になってきている」など意見を交わした。

 
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