観光庁は、旅行業てるみくらぶの経営破綻で問題となった消費者保護、旅行業の経営管理などのあり方を検討するため、有識者会議「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の下に、専門の検討部会「経営ガバナンスワーキンググループ」を設置する。近く初会合を開催し、意見を聞いた上で早期に対応策をまとめる。
格安海外ツアーなどを取り扱うてるみくらぶは、今年3月、旅行申し込み客に対し、日本旅行業協会(JATA)の弁済業務保証金制度の弁済額を大幅に上回る多額の債務を抱えたまま経営破綻した。
てるみくらぶの問題について石井啓一国土交通相は4月7日の会見で、「当該旅行会社は大規模に予約を受けながら倒産した。事案の影響の大きさに鑑み、観光庁に旅行業の経営状態をより適切に監督するための方策を検討するように指示した」と述べた。
検討に向けて観光庁は、旅行業法の改正などを議論するために設置している検討会の下に検討部会を設置。学識経験者、弁護士、旅行業団体の担当者などを委員に選出している。論点は弁済制度に加え、企業自体の監査態勢など旅行業の経営ガバナンス(管理)のあり方、オンライン時代の旅行取引のあり方など。
観光庁の田村明比古長官は、4月19日の専門紙向け定例会見で「弁済制度は長い間、うまく機能し、旅行業の信頼性の向上に寄与してきた。今の制度を単にいじればよいとは考えていない」「(旅行業法で)企業の経営状態をチェックするには限界がある。企業自体がどのようにガバナンスを働かせるかが重要」と述べ、旅行取引をめぐる環境の変化を踏まえた幅広い議論を促す考えを示した。