福島県、教育旅行復活へ懸命の努力


 東日本大震災、原発事故の影響で、福島県内への教育旅行が2011年度から激減した。ただ、キャラバンなど地元関係者の懸命の努力で実施校数が徐々に増えている。福島県観光物産交流協会はホームページなどで県内での教育旅行実施例を紹介し、豊富なコンテンツがある同県での教旅実施を呼び掛けている。

 福島県観光交流課の「福島県教育旅行入込調査報告書」によると、2013年度の同県への教育旅行実施校数は4776校。2010年度の7647校の7割以下の規模だが、最も落ち込んだ2011年度(2082校)から倍増以上。前年度(4042校)比でも18.2%増加した。

 教育旅行の宿泊者数も2011年度(13万2445人)のおよそ2.4倍、前年度(24万148人)比32.7%増の31万8618人まで回復。ただ、ピーク時の70万人台に比べると半数以下の水準にとどまっている。

 県内への教育旅行数を元の水準に戻そうと、県、福島県観光物産交流協会、民間が2人1班体制でキャラバンを編成。旅行会社、学校、マスコミなど全国1200カ所以上を巡り、県内での教旅実施を訴えた。

 昨年9月は東京で旅行、教育関係者を対象にセミナーを開催。「放射線被ばくと健康影響」をテーマに専門家が講演。首都圏の学校による福島県内での教育旅行の事例発表も行われた。

 地元ではこのほか、教育旅行のモデルコースを作成し、関係者を招いてのモニターツアーを実施。県内で2泊以上する学校の合宿に最大30万円を交付する助成金事業も行っている。教育旅行の実施例や放射線への理解を深める冊子も作成。キャラバンなどで配布している。

 福島県観光物産交流協会のホームページでは、同県で行われた教育旅行の事例を紹介している。

 熊本県立牛深高校は1月19〜21日、福島県天栄村でスキー修学旅行を実施。インストラクターの指導で生徒らがスキーの基本動作を学習。宿泊施設では津波の被害に遭った被災者から当時の状況を聞いた。生徒らは「自然災害の怖さや家族・地域の方々の優しさ、命の大切さを実感した」などと感想を述べている。

 福岡県立福岡農業高校は1月25〜27日、福島県猪苗代町と会津若松市へ修学旅行を行った。現地ではスキーのほか、同県富岡町の農業従事者から震災講話を聞き、被災地の農業について理解を深めた。同校は県のキャラバンから現地の放射線の現状や食品の検査体制について説明を受けた上で、震災前まで行われていた同県での修学旅行を再開している。

 
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