日本観光旅館連盟(佐久間進会長、3890会員)はこのほど、宿泊産業への支援方策に関する要望書を観光庁に提出した。景気後退に伴う政府の中小企業支援策に対して、宿泊産業は「すでに過剰債務を抱えており、金融機関から融資を得ることが極めて難しい」として、宿泊産業の特殊性を考慮した金融支援策などを求めた。そのほか国内旅行の需要喚起、宿泊団体加盟施設の海外への情報発信などで支援を求めた。
佐久間会長が2月25日、観光庁を訪問し、本保芳明長官に直接文書を手渡した。
要望書では、景気後退を踏まえて、「地域経済の活性化、非正規社員も含めた地域雇用を支えていくためにも、宿泊産業の維持、育成の支援策を講じてほしい」と求めている。
主な要望内容は次の通り。
【宿泊産業に対する支援】
金融支援=一般的に宿泊産業は多額の設備資金を必要とするばかりでなく、投資資金の回収に長期間を要するという特性を有し、また、多様化する顧客ニーズへの対応のため、比較的短期間の内に設備更新のための再投資(修繕費用等)も必要とされる。このため金融機関での既存債務返済の強要および貸し渋りがないよう指導していただくことも含め、宿泊産業の特殊性を考慮した各種金融支援策の検討をお願いしたい。
税制支援=宿泊産業では比較的広い土地と建物の装置が必要となり、固定資産税の支払いが重く経営を圧迫していることから、宿泊産業における固定資産税の軽減および当該減額分についての交付税措置などの税制措置の検討をお願いしたい。
人材育成支援=観光客にとって我が国や地域の顔ともいうべき宿泊産業の従業員について、観光立国の担い手として人材育成支援方策を講じていただきたい。
【国内旅行需要の創出】
国民の健康増進、勤労者の休暇取得の促進、ワークシェアリングなどを目的として、国民の休暇取得や国内宿泊旅行を促進するための方策を講じていただきたい。
【インバウンドの促進】
海外旅行会社に対する宿泊施設団体の会員施設の宣伝、あるいは海外旅行会社の宿泊予約サイトに対する日本政府観光局からの情報発信をお願いしたい。
本保長官(右)に要望書を手渡す佐久間会長