旅館・ホテルの宿泊プラン「宿公式プラン」の直販を支援する日本旅館協会のシステム「DRS」の2018年度の販売額が、前年度に比べて約6割増の約2億円に達した。宿公式プランをOTA(オンライン・トラベル・エージェント)などを経由せずにメタサーチ(比較サイト)に掲載でき、直販が拡大できる。未接続の会員施設に参画を呼び掛けている。
DRSは、宿泊施設が自社の予約エンジンに登録した宿公式プランをDRSのサーバーを通じ、提携先のメタサーチなどに掲載する仕組み。「オープン・ウェブ」事業として12年4月に開始。18年には宿泊予約システムなどを提供するエス・ワイ・エス(東京都港区)と提携し、DRSとして運用する手法に移行した。
5月12日時点で会員施設のうち534軒が参画。2018年度の実績は、販売額が前年度比59.2%増の1億9908万円、予約件数が同60.4%増の4301件だった。販売額は年々増加している。
DRSのシステムには、宿が使っているほとんどの予約エンジンが接続可能。自社予約エンジンに登録しているプランを使うので、新たな登録作業や空室管理の手間はかからない。宿公式プランを国内外の有力メタサーチに掲載できる上、販売手数料率を5%からの低い率に抑えられる。初期費用や利用料はかからず、販売分の手数料しか負担は生じない。
同協会の通常総会(11日)でIT戦略委員会の石橋政治郎委員長(大阪府・大和屋本店)は、OTAと宿泊施設の間のさまざまな問題の解決に取り組みつつも、その根幹には「自分の宿を自分自身で売ることできない」という課題があると指摘し、DRSを活用した直販強化を呼び掛けた。
19年度は、4月の販売実績が前年同月比161.3%増の約2637万円に達した。石橋委員長は「この伸びが続けば、年間5億円の大台に届く。10億の目標も絵空事ではない」と説明した。