山梨県身延町の下部ホテル(矢崎崇社長、105室)は14日、創業80周年を迎えた。これを記念し、同日、館内イベントを開催。武田信玄の隠し湯として知られる下部温泉にちなみ「信玄出陣太鼓ショー」を催したほか、身延町の伝統行事である「万橙行列」を館内で再現し、宿泊客約250人を楽しませた。
同館は1929年創業。前年には、富士身延鉄道が中央線の甲府駅と東海道本線の富士駅を結ぶローカル線(身延線)を全通。ほぼ中央にあたる下部温泉に身延線利用者の便宜を図ることを目的に開業した。当時は木造2階建て、25室だった。
戦時中、陸軍病院の臨時転地療養所として徴用されるなど苦難の時期があったが、この時期を経て48年、戦後の新時代に対応するため法人組織に改組した。
その後、数回の増改築を経て72年に第一期の大規模な増改築工事を行い、翌年3月、鉄筋コンクリート6階建てとし、42室を増室(合計客室数78室)。下部温泉最大規模になった。
79年から07年にかけても3回の増改築を実施。最近の07年の増改築では、温浴施設や食事処などを充実させた。自慢の源泉は、檜や石、陶器といった10以上の浴槽や自然庭園を眺めながら浸れる足湯などで堪能できる。
「癒しと寛ぎがテーマ」という矢崎社長は、「今後も心身ともに、癒しと寛ぎを与えられる旅館を目指したい」と話している。
矢崎社長(左端)らがあいさつ