国土交通省と日本「木造の世界遺産」市町村連絡協議会(会長・藤原昭奈良市長)は2月22日、オーストラリアのシドニーで、「日本の木造世界遺産観光フォーラム」を開いた。現地メディアや旅行会社をはじめ、日本文化に関心の高いオーストラリア人など約400人が参加した。
同フォーラムはビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)事業の一環として、アジア太平洋観光交流センター(本田勇一郎理事長)が企画運営し、JNTOなどの協力で実施。
冒頭あいさつした藤原会長は「日本独自の木の文化は日本人の精神文化そのものだ。この木造世界遺産に、そして日本人の心に触れていただくため、ぜひ日本に来てほしい。フォーラムがオーストラリア全土への情報発信の機会となることを期待している」と述べた。
基調講演では、西村幸夫東大大学院教授が法隆寺や日光東照宮などの建築技術、修復作業を写真や図解で紹介し、「使用木材のひのきは耐性に優れ、伐採後500年間は強度が増し、次の500年で元に戻るため、最低1千年は耐久性がある」と話すと、会場からは驚きの声が上がった。
このほか、奈良市や斑鳩町の首長らによる木造世界遺産のプレゼンテーション、山伏姿の中井善師(吉野大峯護持院喜蔵院住職)による講演などが行われた。
フォーラム後の交流会にはメディアや旅行会社など約150人が参加。参加者からは「日本の木造建築の素晴らしさを再認識した」「実物を見てみたい」などの声が聞かれた。
日本国内には、世界最古の木造建築である法隆寺をはじめ、ユネスコの世界遺産に11地域が登録されている。そのうち、木造世界遺産のある奈良市や斑鳩町など3市町・1広域連合で、同連絡協議会が構成されている。
熱心に聞き入る参加者