国際的なマーケティング情報サービス企業のJ.D. パワー(本社:米国カリフォルニア州コスタメサ)は10日、中国のクレジットカード満足度調査の結果を発表した。顧客満足度トップは招商銀行(CMB)で、民間銀行に対する総合的な顧客満足度の方が、国有銀行に対する満足度よりも高かったという。同社が発表した詳細は次の通り。
J.D. パワーが10日発表した2017年中国クレジットカード顧客満足度調査SMによると、中国のクレジットカード利用者は、新たにカードを作る際の申請と利用開始に関連するサービスに最も満足している一方で、問題解決に関連するサービスと特典・優待プログラムに対する満足度が低いことがわかった。カード発行銀行とのやり取りでは、ソーシャルメディア(WeChat)の評価が最も高く、モバイルアプリとオンライン・バンキングが続いた。
当調査は、中国の消費者を対象に、クレジットカードの満足度に影響を及ぼす主な要因と、顧客ロイヤルティおよび推奨・再利用意向への影響を調べるもので、今回初めての実施となった。
J.D. パワー・チャイナのファイナンシャル・サービス担当ゼネラル・マネージャーであるウィンストン・シュエは、「顧客満足度は、ロイヤルティ、推奨・再利用意向、顧客維持、クレジットカード発行会社のビジネス・パフォーマンスと密接に関わっている。満足度の高いクレジットカード利用者はロイヤルティがより高い。クレジットカード発行銀行は顧客の声に耳を傾け、一貫したプロセスの中で利用者が質の高いサービスを体験できるよう努めていくことで、利用者の満足度を最大限に利益に結びつけることができる」と述べている。
クレジットカードの保有期間が1年を超える利用者は、保有期間が1年未満の利用者よりも満足度が低い(総合満足度の平均:783対820ポイント ※1,000ポイント満点)。満足度の差が顕著なのは特に、問題解決(710対794ポイント)と特典・優待プログラム(726対789ポイント)だった。顧客満足度に最も大きな影響を及ぼす顧客対応については、中国のクレジットカード利用者は、WeChat(831ポイント)、モバイルアプリ(813ポイント)、オンライン(813ポイント)などの技術関連のサービスに対する評価が相対的に高く、担当者からの電話(805ポイント)や電話の自動音声案内(778ポイント)などの従来のチャネルに対しては低かった。
主な調査結果
●顧客満足度とロイヤルティの高さの相関関係:当調査で、中国の満足度の高い顧客はロイヤルティも高いことがわかった。満足度の高い顧客(平均904ポイント)の3分の2以上(68.7%)が、利用しているクレジットカードを「絶対に」変更しないと答えているが、満足度の低い顧客(平均657ポイント)では、この割合は30.5%に低下する。
●プラチナカード利用者の期待値の高さ:プラチナなど上位グレードのカード保有者は、プラチナよりもグレードの低いカード保有者よりも総合的な満足度が高い(812対785ポイント)。満足度において最も差があったのは「特典・優待」と「利用限度額と手数料」だった。ただし、利用している銀行の問題解決への取り組みについては、プラチナなど上位グレードのカード利用者の方がグレードの低いカード保有者よりも満足度が低かった(610対736ポイント)。上位グレードのカードを保有している利用者は、サービスへの期待値が高かったことを示している。
●民間銀行vs国有銀行:中国国内の民間銀行に対する総合的な顧客満足度の方が、国有銀行に対する満足度よりも高かった(796対782ポイント)。満足度の差が大きかったのは、特典・優待(765対720ポイント)、販売促進(784対770ポイント)、請求と支払い(828対816ポイント)の3ファクターだった。
2017年中国クレジットカード顧客満足度調査は、9つのファクターにわたってクレジットカード発行会社に対する顧客満足度を調べている。これらのファクターは影響度の大きい順に「顧客対応」、「利用限度額と手数料」、「請求と支払い」、「特典・優待」、「販売促進」、「申込」、「利用開始」、「付加価値の高いサービス」、「問題解決」である。また、「顧客対応」ファクターはさらに「オンライン」、「モバイルアプリ」、「ソーシャルメディア」、「担当者からの電話」、「電話の自動音声案内」の5つのサブファクターから構成されている。当調査は、2016年11月から2017年1月にかけて実施し、6,040人のクレジットカード利用者から回答を得た。
*J.D. パワーが結果を発表する調査はすべてJ.D. パワーが第三者機関として自主企画により実施したものです。