ワコール、京町家・古民家を活用した宿泊事業に参入


 ワコールホールディングスは30日、京町家・古民家を活用した宿泊事業に参入すると発表した。グレーゾーンの残る民泊形態は避け、旅館業法上の許認可を得た簡易宿所営業として運営する。2018年4月に2~3店舗の開業を予定する。同社が発表した詳細内容は以下の通り。

 当社子会社である株式会社ワコール(本社:京都府京都市、社長:安原弘展)は、京町家・古民家を活用した宿泊(※1)・物販・サービス事業へ参入します。

 職住一体の空間として長く利用されてきた京町家は、京都の都市景観を特徴付ける建築物ですが、所有者の高齢化に伴って老朽化物件や空き家が増加しており、地域や行政にとって深刻な問題となっています。一方で、国内外から関西へ訪れる観光客が増加する中、京都を中心とする宿泊施設は慢性的に不足しています。観光客に印象深い滞在体験を提供するだけでなく、歴史的価値のある京町家・古民家を保全・有効利用しつつ、地域の生活環境改善やコミュニティ形成にも役立ちたいとの思いから本事業へ参入することを決定しました。

 本事業は同じくグループ会社で東京・青山の複合文化施設スパイラル(SPIRAL)を運営する株式会社ワコールアートセンター(本社:東京都港区、社長:小林裕幸)(※2)と連携して展開します。リノベーションに関する意匠・デザインや各種サービスなどのディレクション業務をワコールアートセンターが担当し、ワコールは行政や地元不動産会社を介した物件所有者との賃貸借交渉・契約業務や施工業者の選定および宿泊事業運営全般を担当します。また、近隣住民をはじめ地域コミュニティとの良好な関係構築を前提に、対象物件の選定を進めます。

 当初は宿泊施設運営を中心に事業をスタートする計画で、2018年4月に2~3店舗の開業を予定しています。5年後に京都市内で約50前後の施設展開を目指しますが、その後、京都府下や他府県での展開も視野に入れて事業拡大をはかります。

 なお、本事業は社内提案制度(※3)による新規事業提案をもとに事業化したものです。

※1 本事業の宿泊営業は、旅館業法上の許認可を得た簡易宿所営業に該当します。
※2 1985年の創設以来、「文化の事業化」を謳い、さまざまな展覧会や各種催事を開催しています。2000年には「アートライフ宣言」を発表し、アートの実社会への応用を目指して、ノウハウとネットワークを活用しながらスパイラル館内にとどまらず、国際的なプロデュース活動を展開しています。
※3 株式会社ワコールホールディングスでは、2013年度から新たな市場や事業領域への拡大の取り組みを目的として新規事業社内提案制度をスタートしています。

<京町家・古民家活用事業の概要>

1. 事業目的

・京町家の保全・活用による宿泊施設等の運営と、地域経済の活性化への貢献
・宿泊者向け体験プログラムを通じた京都の歴史・文化・伝統などの浸透

2. 宿泊事業に関する事業スキーム

① 定期建物賃貸借契約を基本とした建物の借り上げ
② 歴史的建造物の価値をなるべく保存しながらリノベーションを実施
③ 宿泊施設のスタッフの常駐はなし(鍵は対面で事前にお渡し)
④ 伝統文化と現代アートが融合した上質で居心地の良い空間を提供
⑤ 体験プログラムのコンテンツやサービスを提供(ワコールスタディホール京都との連携)

宿泊事業に関する事業スキーム

3. 今後の予定について

(株)ワコールアートセンターと連携し、具体的な施設コンセプトや設計案を決定。夏頃からのリノベーションを開始し、2018年4月に2~3店舗の開業を予定。

 
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