日本ホスピタリティ観光学会、東京の宿泊施設「Top20」と「Recommend20」を初発表 統計分析で格付け


 日本ホスピタリティ観光学会は5月23日、2026年度研究大会で「東京の宿泊施設の評価・格付」の結果を初めて発表した。さまざまな格付主体やOTA(オンライン旅行代理店)の点数を統計的に分析し、総合得点の高かった施設を「学会分析Top20」として、また一部データに欠損があったためTop20には入らなかったが、それに匹敵すると判断された施設を「学会Recommend20」として公表したものだ。

 同学会の「宿泊施設の評価・格付チーム」(以下、格付チーム)が1年間にわたって議論を重ね、ようやくたどり着いた第1回の格付け発表。学会というニュートラルな立場から、専門家評価と利用者評価の双方を統合した形での格付けは、従来の評価システムにはない試みだ。

1年かけて醸成した格付けの枠組み

 格付チームは2025年4月の学会発足直後から始動した。学会事務局が参加希望者を募り、以下の会員が名乗りを上げた(アイウエオ順・敬称略)。

  • 青山容子氏(東洋大学食環境科学部)

  • 有田りな氏(戸板女子短期大学)

  • 植松大介氏(川村学園女子大学)

  • 河田浩昭氏(東洋大学国際観光学部)

  • 神田大介氏(株式会社JTB)

  • 島田由香氏(神奈川大学国際日本学部)

  • 崔瑛氏(神奈川大学国際日本学部)

  • 徳江順一郎氏(東洋大学国際観光学部)

 また、学会員ではないが、手塚秀行氏(一般社団法人宿泊施設関連協会)がオブザーバー的に研究に参加した。

 第1回の会合は2025年7月11日(金)、一般社団法人宿泊施設関連協会(JARC)事務所で開催された。続いて2025年9月27日(土)に第2回の会合をホテルニューオータニ(東京)・ガーデンラウンジで、2025年12月14日(日)に第3回の会合を赤坂の飲食店で、2026年3月5日(木)に第4回の会合を田町の貸会議室で開催。第1回では研究の方向性とスケジュールを確認。第2回では各自の調査担当を割り振り、第3回でその調査結果を持ち寄って検討し、第4回で統計分析の結果を確認した。最終的には2026年5月7日(木)に最後の研究会が開催され、全員の承認により結果が確定した。

調査対象は東京23区内に絞る

 調査対象については当初、全世界あるいは日本全体を視野に入れていた。しかし、人的リソースの面などから困難と判断し、今年度は東京、それも23区内に立地する宿泊施設を対象として調査を実施。次年度以降、その手法を踏まえて順次調査対象を広げていく方針だ。

 また、調査結果においてすべての宿泊施設を開示することは適切でないとも判断した。Forbesの調査では4 starsと5 starsの開示が基本であり、それ以外は一部が「Recommended」という表現でまとめられている。本調査においても同様に、最上位カテゴリーの施設を羅列したうえで、必要に応じてさらに優れていると考えられる施設を提示する方向を採用した。

 従前の評価・格付は、調査項目を設定して専門家が実施するものと、利用者の満足度を軸とした点数によるものに大別される。本調査ではこうした評価・格付を包含しつつ、一定の客観性や一般性をもとに、学会というニュートラルな立場から格付けを行った。

 さらに、ほとんどの調査が一次元尺度での結果を示していた点にも問題意識を持った。宿泊施設に宿泊すること自体が目的となる「本源的需要」と、他の目的に付随して宿泊がなされる「派生的需要」とでは、求められる方向性が異なるはずであるためだ。東京に立地する宿泊施設のほとんどは派生的需要に対応するケースが多いと考えられ、市場構造や利用者側のニーズ・欲求がそれほど複雑ではないとの推測から、今年度の調査対象として選ばれた。

2段階の主成分分析で総合得点を算出

 分析手法として、格付チームは主成分分析を採用した。主成分分析は、複数の指標を一つの総合指標として集約する多変量解析手法だ。

 まず予備調査で収集したデータに基づき、主成分分析の対象とする宿泊施設を再整理し、評価・格付およびOTA評価のすべての数値が揃ったデータセットを構築。最終的に32施設を分析対象とした。

 次に、データセットのうち「①評価・格付変数(7項目)」と「②OTA評価変数(5項目)」それぞれについて主成分分析を行い、各群の主成分得点および主成分負荷量(合成得点である主成分得点と各指標との相関係数)を算出した。①と②を分けて分析した理由は、評価・格付が専門家によるサービス評価であり離散型データであるのに対し、OTA評価は利用者の満足度を示す連続型データであり、両者の性質が異なると考えられるためだ。

 本研究では、まず①OTA評価、②評価・格付それぞれについて主成分分析を行い、次にそれぞれの分析から得られた主成分得点を用いて再度主成分分析を実施するという、2段階の主成分分析アプローチを採用。最終的に得られた一つの主成分得点を評価スコアとして用いた。

 固有値1以上の基準により主成分を抽出した結果、①OTA評価については一つの主成分が抽出され、累積寄与率は54.9%であった。②評価・格付については一つの主成分が抽出され、累積寄与率は62.0%であった。

 最終的には、ここで抽出された32ホテルを軸としつつ、ここに入らなかった施設についてもその理由を深掘りし、場合によっては最終的な評価・格付に含める形をとった。価格帯やサービスのグレード、宿泊施設のタイプなどを加味しつつ、委員による投票も実施。最終的な発表結果へとつながった。

学会分析Top20(アイウエオ順)

 統計分析により、総合得点の高かった以下20施設が「学会分析Top20」として発表された。

  • ホテル1899東京

  • ホテルヴィラフォンテーヌプレミア羽田空港

  • グランドニッコー東京台場

  • コンラッド東京

  • ザ・キタノホテル東京

  • ザ・キャピトル東急

  • ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町

  • ザ・リッツカールトン東京

  • The Okura Tokyo

  • セルリアンタワー東急ホテル

  • ホテル椿山荘東京

  • 東京ステーションホテル

  • 東京ベイ潮見プリンスホテル

  • 高輪 花香路

  • 帝国ホテル東京

  • パレスホテル東京

  • ブルガリホテル東京

  • ペニンシュラ東京

  • マンダリン オリエンタル東京

  • ホテル龍名館東京

学会Recommend20(アイウエオ順)

 一部の点数に欠損があったためTop20には入らなかったが、それに匹敵すると判断された施設として「学会Recommend20」も同時に発表された。

  • AOYAMA GRAND HOTEL

  • Aman 東京

  • アスコット丸の内東京

  • アンダーズ東京

  • ホテルインディゴ東京渋谷

  • 京王プラザホテル プレミア グラン

  • The Okura Heritage Tokyo

  • 雅叙園東京LXRリゾーツ

  • JWマリオット・ホテル東京

  • シャングリラ東京

  • 東京エディション銀座

  • ホテル虎ノ門ヒルズ

  • TRUNK HOTEL CAT STREET

  • ホテルニューオータニ エグゼクティブハウス 禅

  • パークハイアット東京

  • フェアモント東京

  • フォーシーズンズホテル東京大手町

  • ふふ東京銀座

  • Bellustar Tokyo

  • HOTEL YOYOGI PARK

 今回の発表は第1回となる。格付チームは次年度以降、今年度の手法を踏まえながら順次、調査対象を広げていく方針を示している。

 
 
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