移動ポータルサイトの運営や高速ツアーバス・ネットワークの構築などを手がけるウィラー・グループは、2016年までに現在の3倍となるグループ売上高300億円を目指す。営業利益も約3倍の30億円を計画する。バス事業の規制緩和以降、高速ツアーバス事業を中心に成長を続けてきた同グループ。今後は旅客船やレンタカーなどの交通機関を網羅したポータルサイトの整備やアジアでの事業展開などを積極的に進める考えだ。
1日に東京都港区の品川プリンスホテルで報道関係者と主要取引事業者を対象に開いた戦略説明会で発表した。
今年9月から2016年までの5年間を第2期とし、(1)高速バス、旅客船のさらなるサービスの進化と新たな市場創造(2)あらゆる交通機関をつなぐことでの価値の創造(3)海外へのサービス拡大──を事業の柱に掲げた。
このうち高速バス事業では、高速乗合バスと高速ツアーバスを一本化した「新高速バス」に関する新法の年内中の施行を前提に、全路線で来年4月1日に新高速バスに移行することを目指すとの方針を示した。
また増車や新機軸のオリジナルバスの投入と合わせ、シニア層などの従来高速バスを利用していない層の取り込み策も進める。新高速バスに移行するとバス停の設置が可能になることから、インターネットを使わずに窓口で座席の予約や購入ができる仕組みの構築も検討する。
路線展開については、温泉地などの観光地と都市部を結ぶ路線の拡充にも取り組む考え。
さまざまな交通機関ネットワークの充実については、同社提供のシステムを導入してもらうことで、高速バスやフェリー、タクシーなどの交通機関を一括で予約できるポータルサイトの充実を図る。自社開発の運行管理基幹システム「Willシステム」を来年6月に発表してレンタルシステム事業も行うほか、ポータルサイトもリニューアルする予定だ。
高速バスとフェリーなど、異なる交通機関同士の乗り継ぎの利便性を高めるべく、港と駅、バスターミナルなどをつなぐバスネットワークの充実も図る。第1弾としてフェリーターミナルのある大阪南港と大阪・梅田、京都を結ぶ高速乗合バスの運行を始める予定。
海外戦略では、今年12月に訪日向け周遊チケット「ジャパンアクセスパス」を発売するほか、台湾の高速バスを利用できる「台湾バスパス」を日本国内で発売。アジアの周遊型個人旅行需要の創造を目指す。
戦略発表会で、グループの持ち株会社であるウィラー・アライアンスの村瀬茂高社長は「06〜11年の第1期では利用者の高速バスのイメージを変え、市場の活性化と拡大を実現できた。第2期は全く新たな事業領域に取り組む。あらゆる運輸事業者と協働し、世界で最も便利な移動ネットワークをつくりあげたい」と意気込みを語った。
高速バス事業の16年の計画値は、利用者数が400万人、路線が60系統、1日の運行便数は500便。ポータルサイトの16年の目標流通額は300億円、目標利用者数は560万人。