国の緊急事態宣言が解除され、県をまたいでの移動が始まり旅行をする人が増えてきた。衛生管理への意識が高い人たちだけが動くなら積極的に動くべきだが実際はそうはいかない。Go Toキャンペーンが始まり、人の往来は今後ますます増える。旅館に対しても感染症対策への意識を持った人を見極めて受け入れることが求められている。
コロナを機に旅行の形態は、団体旅行から個人旅行へとますます加速するはずだ。移動は公共交通機関からマイカー、行き先は海外から県内、隣県へと変わる。旅館の選択でも、施設は大規模から小規模、風呂は大浴場から個室露天風呂、食事はブッフェから部屋食が注目される。また、衛生管理など感染症対策も選択のポイントとなる。
しかし、逆にプラスとなるものもある。これまでは、旅行、温泉に行く際にはただ漠然と「リラックスするために行こうか」と思っていた人たちが、外に出ることに意識を持つことになる。地元の地産地消の食材を食べて健康促進や免疫アップ、大自然でウォーキングやエクササイズなど、湯治+αといった明確な目的が生まれる。そうなると、3カ月に1回など定期的に温泉に訪れて体のメンテナンスをするニーズも増えるはずだ。
われわれは、お客さまに向けて旅館の3密対策や衛生管理の情報を提供しているが、一番目指したいものはニーズに対して期待値をどう合わせるかだ。期待値マッチングがゴールと考えている。旅館に満足したかどうかは、何に期待していたかによる。お客さまが求めるものに合わないと不満足になってしまう。期待値の観点で言うと、安心感が求められている。コロナ禍で衛生管理も大事だが、お客さまが何を求めて旅館に訪れ、期待値マッチングができているかを分析し、今後につなげてほしい。
今はどこの温泉地、旅館も喉から手が出るほどお客さまを求めている。だが、旅館もお客さまをしっかり選んでほしい。食事を例によく言われるが、地元の人は地の食事を求めていない。遠方の人は非日常として山の中で海の幸ではなく、その地だから経験できる食事を求めている。これを機に旅館はターゲットを明確にし、だれに来てほしいのかを明確に打ち出すべきだ。ニーズ、期待値を明確にすることで、短期的にはお客さまが減るかもしれないが、期待値が似通った人たちが集うことで、将来的にはにぎわいをもたらすだろう。われわれも本当に来てほしい人に正しい情報を伝え、誘客拡大のお手伝いができる取り組みを行う。
コロナ禍でワーケーションでの長期滞在、ECサイトでの全国への販売など可能性が高まっている。ゆこゆこの会員からも旅館に対して多数の激励の言葉が届いている。共にこの難局を乗り越えていきたい。
吉田CEO