【観光リ・スキリング リカレント特集】立命館大学ビジネススクール(RBS) 観光マネジメント専攻 地方でも、世界と戦える普遍の経営力が必要だ 


ハイフレックの講義スタイル

ハイフレックスで双方向の学び実現

 立命館大学ビジネススクール(RBS、大学院経営管理研究科)は、2024年、観光産業の企業・団体などでビジネスを創造するリーダーを育成する「観光マネジメント専攻」を立ち上げた。ビジネスパーソンを対象にした「観光事業マネジメントプログラム」と学卒生を対象にした「観光事業キャリア形成プログラム」の2プログラムを開講。定員合計70人と国内の観光系大学院では最大規模を誇り、教授陣は専任、客員、非常勤講師を含めると約50人。学術系だけでなく、観光業界の各分野でホスピタリティ・マネジメントを実践してきた実務家教員もバランスよく所属する。国内有数の総合私立大学である立命館のさまざまなリソースやネットワークを活用できる点も魅力だ。

 今年3月に初めての修了生を送り出した観光マネジメント専攻。40、50代を中心に、官公庁や交通・運輸業、旅行・宿泊事業者のほか、不動産、教育、コンサル業、観光業に関心のある異業種の起業家など、幅広いバックグラウンドを持つ学生が集まる。

 「最新設備と実務経験豊富な教授陣、多様な同級生。地方にいても時間と距離の問題を超越し、課題と向き合いながら視野を広げ、実践的な学びが得られる」とアピールするのは、牧田正裕研究科長。会計学の専門家だが、大分県別府温泉「ハットウオンパク」に関わるなど、温泉地経営や旅館事情にも精通する人物だ。


牧田研究科長

 RBS最大の特徴は「ハイフレックス」と呼ぶオンラインとリアルを併用した講義スタイル。各地からのアクセスに優れた大阪・梅田のキャンパスで、平日午後6時30分から、土日は終日開講する講義は、原則全てオンライン受講可能だ。

 講義は、実例に基づき経営判断に至るまでを学ぶケースメソッドが中心だが、各学生が自社での課題も持ち寄ることから、より現場実践につなげやすい。オンライン受講者もリアル同様グループ討議に参加し、双方向でのアクティブラーニングを実現している。

旅館経営にこそ、問いを立てる力を

 人手不足や生成AIへの対応に加え、国内の観光産業のグローバル化の中で、地方の宿泊産業もこれまでの経験則による経営だけでは難しい局面が来ている。牧田研究科長は「単発の研修で対処療法は得られるが、今経営者に求められるのは、『自らの経営に対して、正しく本質的な問いを立てる力』だ」と指摘する。「例えば世界のホテルチェーンでは、米国の会計報告様式であるユニフォームシステムに対応できるかどうかが支配人要件になっている。そのようなホスピタリティ・マネジメントの世界標準を知った上で経営学のフレームワークによる経営判断を行っていくことは、日本の旅館ホテルが経営を持続し、さらに世界と戦うためには必要なこと。RBSで取得できる『観光MBA』(観光経営修士)は決して過剰スペックではない。地方の旅館ホテルの経営者、後継者にはRBSで本物の経営力を得てほしい」と力を込めて語った。


ハイフレックの講義スタイル

理論と実践をつなぐ、RBS教授陣

 「旅館経営」「企業財務」「管理会計」の三つの講義を担当する宮口教授は、会計の専門家であると同時に、自ら長野県内で旅館を営む実務家でもある。

 「旅館経営」は、ファイナンス、マーケティング、人事管理(HR)、AI活用など、旅館経営の全体像を全7回で体系的に学べる講義。宿泊ビジネス未経験者はもちろん、地域のDMO関係者にも受講を勧める。「宿泊費は旅行消費額の大きな割合を占め、地域経済への波及効果も大きい。地方の旅館は、経営の仕組みを適切に設計すれば、地域でさらに大きな役割を果たせるのではないか」と宮口教授は話す。

 宿泊業界向けの研修講師経験も豊富な宮口教授は、「経営に苦しむ地方の旅館は少なくない」と指摘する。家族経営の旅館は、世代交代を控え、従来の経営手法をどこまで継承し、どこから変えるべきか判断する転換期にある。こうした中、MBAで財務・マーケティングなどを体系的に学び、数値や論理に基づく経営判断を身に付けることが、経営改善につながると考える。

 授業では、受講生それぞれの実務経験を引き出すファシリテーションを重視する。宿泊業界内の閉じたネットワークにとどまらず、異業種の人々と交流し、自己投資を重ねることが経営革新の契機になると強調。「迷っているのならば絶対に来てほしい」と呼びかけた。


宮口教授

 サービスマネジメントと観光マーケティングを専門とする大島准教授。担当するのは、「マーケティング」「サービスイノベーション」「サービスとホスピタリティのデザイン」など。このうちサービスイノベーションでは、顧客に満足してもらえるサービスを提供し、その品質を維持・向上させながら、生産性や利益も高めるための具体的な手法や考え方を紹介する。「サービス業の場合、経験や勘を頼りに、ある程度は事業を続けていくこともできます。だが、経営の考え方を学ぶことで、サービスの提供や事業の運営について、より合理的な意思決定ができるようになります。授業では、サービス品質や生産性、利益を統合的に見ていきます」と大島准教授。学術的にも体系化されているサービスイノベーションを学ぶことにより、その後の旅館経営や交通ビジネスなどの専門分野を学ぶ際に、経験則だけでない議論が可能となるという。

 講義は主に、教科書やケースを読んだ上で、事例や課題について議論するスタイル。課題発見と課題解決に向けた施策展開、その後の意思決定に至るまでのフレームワークを身に付ける。

 RBSは実務家教員も多いが、大島准教授は学術系ながら自らゲストハウスを開業、運営する一面も持つ。「理論と実務を往復しながら、実務家でもある院生の皆さんと共に経営改善などをすすめたい」。


大島准教授

特別セミナーとRBS説明会 11月20日に東京で開催 オンライン説明会も随時

 RBSでは教授陣の講義やビジネススクールでの学びに触れてもらおうと、各専攻の説明会の他にも体験クラスやセミナーイベントを実施している。

 観光マネジメント専攻では2月入試に向けて、10月31日(土)に大阪梅田キャンパスで、ハイフレックス方式の体験クラスを実施する。対面参加者は、宮口直人教授の「管理会計」、樋口知比呂教授の「リーダーシップ」の講義も見学できる。12月19日(土)にも体験クラスを開く。

11月20日(金)午後6時からは、JR東京駅から徒歩1分に位置する立命館東京キャンパスで、iコミュニケートの岩下智之氏を講師に、「観光特別セミナー~インバウンドによるビジネス創造~」を開く。同日には東京での対面説明会(事前申込制)も行う。

このほか11月18日(水)、1月11日(月・祝)には、西本恵子教授によるオンライン説明会を開催。「ビジネススクールで学ぶこと」「RBS観光マネジメント専攻の特色」などについて説明する。また観光マネジメント専攻の在学生も参加することから、ビジネススクール生の生の声も聴ける。

 いずれも参加申し込みはRBSのサイトから受け付ける。

【今後の入試日程】出願期間=2027年1月7日(木)~1月21日(木)、試験日=2月13日(土)、合格発表日=2月25日(木)

【説明会・入試情報】https://www.ritsumei.ac.jp/mba/admission/

在校生に聞く、RBS 問いと学びと実践の循環が面白い

 日々さまざまな業務に忙殺される宿泊業。RBSにはその宿泊業と二足のわらじをはく院生がいる。なぜRBSで学ぶに至ったのか、RBSで学ぶ魅力とは―。現在1回生の夏原秀樹さん(タッセルホテル三条白川・タッセルイン京都 河原町二条 企画営業統括支配人)に話を聞いた。(聞き手は本社関西支局・小林茉莉)

――経歴は。

 「大まかに言うと、20代が船乗りで、30代がアートディレクターです。神戸出身なので、船乗りや外国文化が身近であこがれがあり、商船高専で学びました。実習で訪れたスペインに引かれて大学に留学。その後、コロンブスのサンタマリア号の復元・航海再現のプロジェクトなどに関わったのですが、元々好きだった美術に関わる仕事がしたいと画廊に就職。地方都市のシティホテルにギャラリーを作るプロジェクトをきっかけに、ホテル業界に身を置くことになりました(笑い)。その後子どもの進学などをきっかけに、京都のホテルで働くようになりました」

――進学は以前から考えていたのですか。

 「いえ、コロナ禍がなければ考えなかったと思います。地方にいた時は観光客をどう呼んでくるかいろいろ工夫し、観光に面白さは感じていました。同時に、何もしなくても人が集まる京都という土地への関心が高まっていました。その後、縁あって京都のホテルの立ち上げから携わり、たくさんのお客さまと競合ホテルの中で、『さあどう戦おう』と腕まくりをした直後、コロナ禍で出鼻をくじかれたのです。その2年後、オーナーがデベロッパーとなり、私も転籍しました」

 「現在のホテルでは、ライフスタイル型ホテルというコンセプトのもと、画廊での経験を生かし、年間を通して企画展も開催しています。私の所属する西松建設グループ、西松地所株式会社にとってホテル直営は新たな取り組みであり、経営と運営の違いや、観光事業におけるホテルの位置付け、収益構造や時間軸の違いなどについて、社内で共通理解を形成していくことの難しさも感じていました。そうした経験から、観光事業にも工事における設計図書のような、関係者が共通して理解し、議論できる『共通言語』が必要ではないかと考えるようになりました。営業で行った立命館大学で、24年に日本初の観光経営修士(観光MBA)が取れるビジネススクールができることを知りましたが、通える自信もなく、進学は考えていませんでした」

 「学び直しを真剣に考え出した一番のきっかけは、23年に登場したOpenAIです。急速に発達したことで、24年には『今後OTAはなくなり、宿泊予約経路ががらりと変わるのでは』『業界にパラダイムシフトが起こるかも』と考え始めました。それと同時に、観光業界や宿泊産業について、これまで自分が体系的には何も学んでいないと思い至るようになりました」

 「長年空手をやっているのですが、空手は相手がどんな動きをするか分からないという『不確実性』に対応するために、実戦のパターンとしての『型』を身に付けます。さらに型を『基本稽古』などに細分化して稽古するんです。AIにより先が見えない『不確実』な観光業界についても、空手と同じようにその要素を全てバラして、自分の知見も全て分解して、この先必要なものと不必要なものを見極め、体系化、再編集したい。より質の高い『基本稽古(各科目)』が必要だと思い、RBSの牧田先生をご紹介いただきました。ちょっと相談のつもりだったのですが、その場で入学を決めました。そのまま科目等履修生となり、昨年度のうちに履修可能上限の14単位を取得しました」

――他の大学院は考えなかったのですか。

 「実は他にも調べたのですが、立地や会社員を続けながら在籍できる時間設定やサポート体制などを考えると、RBSが最適だと考えました。フルオンラインでも講義を受けられるのもありがたかったですが、個人的にはちょうど会社と自宅の通勤ルート上に講義のある梅田キャンパスがあったので、対面講義に参加しやすかったのも魅力でした」

――入試準備などは。

 「学修・研究・キャリア構想などが必要でしたが、自分の今までの業務を棚卸しする良いきっかけになりました。自分の疑問や何を解決したいのかを整理して言語化することもできました。ただ、研究テーマは入るとどんどん変わると言われましたし、そこまで気にしなくてよいかと思います」

――RBS生としての生活はいかがですか。

 「学ぶことで学術的体系的に整理するのが目的だったのですが、今は知れば知るほど問いが増えていく。学んだ分析の方法や理論を使いながら、その問いの答えを出す作業が楽しくて仕方ない。院での学びを持ち帰って再編集して、現場に戻す。それぞれがつながって循環している点が非常に面白くて、講義は仕事帰りのご褒美のような時間です。今までは独学と経験値でやってきた新規事業の価値判断や、経験的にやってきた人的資源管理など、なんとなくやってきたことが体系化されることでクリアに見えるし、自分が次に打つべき手も明確になるように感じています」

――時間や受講料などの悩みはありませんでしたか。

 「科目等履修生として各ターム週2、3コマずつ取ったのですが、200分の講義に、最初は『えらいとこに来てしまった!』と思いました(苦笑)。パソコンやスマートフォンを使った手続きや授業環境に慣れるまでは苦労もありましたが、慣れてしまえば問題ありませんでした」

 「科目等履修の場合、授業料が1科目4万8千円ほどなのですが、7回の講義で割ると1回6800円、1時間2千円ほど。ホテルで1回お茶するくらいの金額で、一流の先生方と、さまざまなバックグラウンドを持った真剣に学ぶ仲間と議論できる。実務家教員と研究者教員からバランス良くお話を伺えます。また授業の前後にお話もできるので、自分より優秀な『俺のブレーン』がたくさん手に入る(笑い)。これは本当にプライスレス。迷っているならばとりあえず一歩踏み出して、興味のある科目の科目等履修から試してみてほしいです」


夏原さん

修了生が語る、RBS

 RBSでは今年3月に修了した第1回修了生による座談会を実施した。大島知典准教授をファシリテーターに、5人の修了生が、「現場の課題意識から観光MBAへの進学」「仕事や生活と両立する多様な学び方」「異業種の仲間との学びによる視野の広がり」「観光MBAの学びの先に描く、これからの挑戦」をテーマに率直に語った。

【座談会はこちら】https://www.ritsumei.ac.jp/mba/topics/detail/?id=22


今年3月に行われた、修了生5人による座談会

▷拡大


関連キーワード
 
 

注目のコンテンツ

第39回「にっぽんの温泉100選」発表!(2025年12月15日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2025年度「5つ星の宿」発表!(2025年12月15日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第39回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング 」(2026年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト50を発表!

2025年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング」(2026年1月12日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒