【食と観光 訪日客4000万人時代の和食 24】添加物の多い日本食の現実 本物の食文化の普及に努力 国際観光日本レストラン協会 会長 安田眞一


 カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを獲得した是枝裕和監督の映画「万引き家族」を見た。スーパーから万引した食材で、小さなちゃぶ台を囲んで鍋をつつき合う家族団欒(だんらん)の、一見ほっこりとする温かいシーンがあった。

 全くの赤の他人が、家族以上の強い絆で結ばれていくという「食」の不思議な力に魅了されたが、食に関わる職業人の一人として、惣菜のコロッケやカップ麺などのごく日常的な食べ物が、安全で安心できるものでなくてはならないとつくづく思った。

 最近、週刊新潮が「食べてはいけない『国産食品』実名リスト」と題して8週にわたって特集を組んだ。お読みになった方も多いと思う。食の多様化や利便性のため、知らず知らずのうちに過度な添加物の摂取を強いられ、各種のアレルギー症を引き起こしている。世界に胸を張って誇ることはできない、日本の食の現実だ。

 私ども一般社団法人国際観光日本レストラン協会では、「夏休み親子体験食味学習会」を例年7~8月に開催している。食事のマナーをはじめ、利尻昆布とカツオ本節の出汁の取り方、お茶会体験など、日本が誇る「本物の食文化」に触れていただこうという催しだ。

 今年も、九州の公益財団法人江頭ホスピタリティ事業振興財団と各地の一流有名店40余りのご協力を得て、破格の料金で開催している。国際観光も、まずは次代を担う日本の子どもたちの食育からという継続企画だ。

 是枝監督は秋から、高松宮殿下記念世界文化賞に決まった大女優カトリーヌ・ドヌーヴを主役に、日仏合作の映画製作をされるそうだ。監督らしい、人間の機微をくみ取った感動の物語になること請け合いだが、ちなみに撮影はフランスで行われ、全編フランス語の予定という。

 カトリーヌ・ドヌーヴが日本食に舌鼓を打ちながら、「オー、トレビアン!デリシュー!」と恍惚の表情を浮かべるアップもぜひ入れてほしいものだ。これで、2020年の訪日観光客目標4千万人達成は、まちがいなし。

(国際観光日本レストラン協会会長、安田眞一)

 
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