【食と観光 訪日客4000万人時代の和食 15】世界の人々にすき焼きを お客さまを魅了する仲居の力 柴田伸太郎

  • 2018年3月19日

 「岡半」は、東京のホテルニューオータニのロビー階にあり、フロントとロビーのごく近くでありながら、長い通路を抜けた“離れ”風のところに位置している。

 営業を開始したのは1964年。東京オリンピックに合わせてホテルニューオータニが開業した際に、世界中から来られる人々に日本の料理をということから、わが国を代表する料理である鮨、天ぷら、すき焼きのお店の一つとして声をかけていただき、以後、新橋の料亭「金田中」の姉妹店である「岡半」として営業を続けてきた。

 ホテルという立地もあり、20~30%は海外からのお客さまだ。アジアはもちろんのこと、欧米やアフリカ大陸、日本の裏側メキシコやブラジルからもお客さまが訪れる。その全てのお客さまが当店の仲居に魅了される。

 当店の特徴の一つは、仲居が最後までついて鍋のお世話をさせていただくこと。岡半としての基本を押さえつつも、おのおのの持つ雰囲気や調理の仕方の微妙な違いを大切にしている。仲居は自分のやり方で全体を進行していくシステムの中心でありながら、お客さまの好みに合わせる柔軟性も十二分にある、いわば緩急自在のベテラン技術者なのだ。

 言葉をかえていえば、すき焼きは卓上で調理する料理なので、仲居はシェフ兼サービス係兼エンターテイナー、「すきやき劇場」のヒロインなのだ。

 先日、アメリカからのお客さまの席をベテラン仲居のK子が担当した。K子は持ち前の明るさで海外のお客さまからはとりわけ人気のある仲居だ。すき焼き鍋の中で焼くように肉を操る。椎茸を裏返したり、上手に豆腐を皿から鍋に移す。その流れるような箸さばきにお客さまの目は釘付けになる。

 この日来店した女性はとても感激し、明日は旦那を連れて再訪するという。翌日、本当にご夫婦で来店をされた。よく聞けば、その時東京で開催されていた野球の世界大会の審判と、元メジャーリーガー、元アメリカ代表監督だった。

 K子はアンパイアという単語が英語だとは知らず連呼をする。日本の数の数え方をイチローの1、膝のあたりをさすって2(ニー)、空の太陽に手をかざす仕草で3(サン)と教える。海外の方は英語が堪能でなくても、コミュニケーションを取ってもらえることに喜びを感じる。この元メジャーリーガーは公式球のサインボールをK子にプレゼントをしてくれた。「Thank you for a great dinner」とサインして。

 世界中のお客さまの言語に全て対応することは到底不可能である。でもこのK子のようにおもてなしの心を持って対応することができれば、きっと全ての海外からのお客さまも満足をしてくれることだろう。

(国際観光日本レストラン協会監事 岡半代表取締役、柴田伸太郎)

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