私どもは日本料理店を経営している。
日本料理は日本の文化を取り入れることはもちろん、建物の外観、お庭のしつらえ、お部屋の壁、木材、お床、掛け軸、生け花、香(香合)、絵画、書、陶磁器、漆器、ガラス器など全てが古来から伝わる日本の技術を取り入れた季節感あふれる演出、そして日本の風土・風潮にマッチするところに、お客さまを「おもてなし」する受け入れ態勢があるかと思う。
そして、そこに四季折々の献立をたてるという日本料理の使命感がかかっていると考える。私どものお店は常に、お客さまが足を1歩踏み入れる前から、お客さまの心のときめきや感動を感じていただくようにと心掛けている。
お琴やフルートでの生演奏をはじめ、枯山水の庭園の横にある赤い桟敷舞台では十五夜のお月見、お能鑑賞、夏の花火見物、冬の若草山の山焼きや宴のお席などを行っている。お香のお遊び(源氏香)、お茶室での茶道体験、お正月には百人一首、投扇興のお遊び体験、また、夏休みを利用しお子さまへの食育教育も行う。
日本文化の歴史がなくては、日本料理という感動は生まれない。全てが一つに合致してはじめてお客さまの感動が生まれる。明日への活力となるように日々精進し、研究と学びの場を設け努力している。
日本人は外国の方に対し言葉の壁がのしかかる。説明が不十分になりサービス不足が多々あるかと感じている。日本の匠とされるさまざまな超越した技術をお客さまに提供することにより、何かを感じ、理解していただきたいとの思いで日本の心意気を演出している。
そのためにも、これからの私どものお店も、英語、中国語、韓国語、スペイン語など通訳、会話ができるスタッフの導入、お店の内容をより理解していただくためのタブレットを利用した説明の導入が必要だと実感している。
「日本に来てよかった」「想像以上だった」「生まれてきてよかった」などの心の刺激と感動を感じていただくために、食を通して日本国の意気込みを感じていただくお料理を提供していきたいと実践している。
(国際観光日本レストラン協会常務理事 西大和さえき、佐伯省吾)