【道標 経営のヒント 316】国際ホテルレストランショーでSDGsを考える 佐々山 茂


 2月15日から国際ホテル・レストラン・ショーが開催されますが、国際観光施設協会は「ホスピタリティで解く観光施設の未来~SDGsを踏まえて」をテーマに展示します。

 私のエコ・小活動では「SDGs Tree~未来志向の旅館」のパネルを展示します。観光施設に関するSDGsを大きな根のある樹木になぞらえ、一番気になっている(13)「気候変動に具体的な対策で」を根っ子で表し、そこから幹が伸び、この活動を進めるのに欠かせない(17)「パートナーシップで目標を達成しよう」を樹冠に持ってきました。幹は「オープンイノベーションでステークホルダーとのパートナーシップでエコ・小を推進」として太く、八つの枝を観光産業に深く関わる項目に充てています。

 仕事柄、活動的な旅館経営者に会いますが、第6波のまん延防止措置で営業的に大きなダメージを受けても、抜けないトンネルはないと前向きな方がほとんどです。仕事の合間にSDGs Treeの話をすると、自分の旅館のSDGsの取り組みに使いたいと言う方、これからの10年はSDGsに沿って経営を頑張るという方、地域でのセミナーに前向きに関心を寄せる方と皆さん一様に共感されます。

 考えてみると世の中の変化は数年掛かりで、バブル崩壊やその後に続く個人化への流れ、インバウンドの増加も、あの頃から始まったのだと後から気付くものです。しかし今回はパンデミックを契機として日ごとに状況が変化し、加えて気候変動問題で車のEV化のように世の中の潮目が変わったのを感じています。

 経営者が特に興味を示されるのは水・温泉・風などの地域エネルギーを有効利用すること、働き方や生産性向上、食品ロス、地域社会との関係、経営の継続性など旅館の存在に深くかかわる問題です。

 旅館は息の長い生業で、地域に密着し、環境を資本とし持続性が基本なのです。私が今進めている仕事でも、長野の旅館では地元の木材で建築し、生産者の分かる食材を提供するレストランを造り、富山の旅館では海から山、山から海への水の循環と地域の歴史をテーマとしてラウンジを改装し、和歌山の港町の旅館でも海と山の景観を資本とする計画など、SDGsに関わるテーマがベースになっています。

 都会人が地域に求めるものを考えると大地の力を可視化することと思い、それが消費されないデザイン、持続可能性につながり、お客に対するホスピタリティになると考えています。国際ホテル・レストラン・ショーにご来場の際はぜひ東京ビッグサイト東展示棟の4ホールにお立ち寄りSDGs Treeをご覧ください。

 
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