【道標 経営のヒント 266】新しい時代の幕開け コンテンツキュレーター 小倉理加


 何でも手に入る富裕層にとって、最も関心の高いのが開運法である。そのため、年末になると決まって占いの取材が入る。分野は、西洋占星術、九星気学、数秘術など多岐にわたる。毎回、各先生たちが語る未来の相違を比較するのが密かな楽しみだが、今回ばかりは、使うキーワードは異なっても話す内容がそろっていたのが印象深かった。

 まとめると、新しい価値観の始まりの年である。まず、占星術から見ると、グレートコンジャクションが起こり、江戸時代から続いていた「土の時代」から「風の時代」に切り替わった。どういうことかというと、物質や権威主義の時代から、情報や人脈、経験、個が重要視される時代に入ったそうだ。すでに進んでいるように、オンライン化が推奨され、SNSなどで発信していくことが求められる時代になる。目に見えないものの価値がより一層問われるというわけだ。

 九星気学で見ると「辛(かのと)・丑(うし)・六白金星(ろっぱくきんせい)」。「辛」は鋭い刃物を表した象形文字で、おので切り落とすことを意味する。さらに、訓読みにあるように、つらい、むごい、きびしいという意味があるため、痛みを伴いながらも強い意志のもと、余分なものを切り払って改革を進める必要があることを示唆している。ちなみに、過去にはアメリカの同時多発テロや東日本大震災が起こったのが辛の年である。

 「丑」は、爪を立てた手の形を表し、指先に力を入れて曲げ、強く物を取る様子を示す漢字。そのため、新しいことが始まろうとするけれどもなかなかつかめない状態に通じ、試行錯誤が続くらしい。

 「六白金星」は、政治、経済、金融と関係する星で下克上なども起こりやすいというから、職場や家庭でも常に冷静な判断が必要となる。

 数秘学で見ると、変化を象徴する「5」の年。歴史上では、明治元年が「5」の年に当たる。同時に、始まりの「1」が含まれる2021年であり、令和3年の「3」は創造性を表すため、新しいことが始まると予見されるのだ。

 では、新しい変革の中で、私たちはどのように過ごすのがよいのだろうか。これも共通しており、「自分の声に耳を傾けて、自分の軸をしっかり持つことが大切」ということになる。組織より、個人。余分なものを断捨離して進むには、自分にとって不可欠なものを見直すこと。変化の年だからこそ、ぶれない自分を確立するために必要な要素をつきつめて考えるのが開運の第一歩と声をそろえる。

 ここは一度、風に流され、変化に揺れる運気に振り回されないように、自分と向き合ってはいかがだろう。「“なぜ生きるか”を知る者は、ほとんど、あらゆる“いかに生きるか”に耐えるのだ」とは、ニーチェの言葉である。

 
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