【道標 経営のヒント 239】時代なんかパッと変わる タグ広告プランナー 宮坂 登


 テレビ局の音響関係の仕事に就いている弟は、現在まったく仕事がなく、自宅待機を余儀なくされている。音楽番組やコンサートがないからね、と諦め顔だ。一方、外食産業に従事している友人は、昨年から食のデリバリーサービスを始めていたこともあって、今は休む暇もないほどの忙しさだという。外食ができず、中食や内食が当たり前になっている分、ニーズが飛躍的に伸びたという。「生意気にも学生がオーダーしてきて、届くのが遅い、と文句を言われる」と苦笑いして言う。

 世界中を席巻しているコロナによるパンデミックだが、最近、コロナ後の社会を推測する記事を多く目にするようになった。社会は確実に変わる、その視点はどの記事も共通だ。訪れるであろう新しい日常、ニューノーマルに向けてどのような社会デザインを描いたらいいのか。

 ある方が「今は、時間という経営資源を生かす絶好のチャンスであり、過去の問題点をじっくり考え、中長期ビジョンを作り、用意ドンで飛び出して行けるように準備するときだ。人を成長させるのは、人と本、そして旅の三つしかない。今はいい本を読み、知識武装をするべきだ」と提唱している。社会の次なる構想力が試されている、とも指摘している。旅に出かけられないのは致し方ないが…。誰もが同じ気持ちだと思う。

 そんな観点から、手持ちのビジネス書を眺めていたら、コロナ後には必要ないものばかりだと気づいたので1冊残らず処分した。社会のパラダイムが変わるから、既存のビジネス知識など一文の得にもならない。一般書も含めれば1500冊ほど手放した。書庫がずいぶんスッキリしたので、次は自室のデジタル環境を整備してさらにグレードアップすることに着手しようと思う。今回のコロナ騒ぎでデジタルトランスインフォメーションが否応なく加速されると思うからだ。同時にインターネットの基盤強化も間違いなく進んでいく。テレワークもきっとこのまま根付いてしまう気もする。あれほど不評だった働き方改革がいつの間にか現実のものになっている。これからは3密のパラダイスのような東京を離れて、テレワークで働く人も増えていくような気がする。東京に一極集中の時代も変わっていくのではないか。

 いつもの路地の店が突然なくなってしまったり、親しかった人と縁遠くなってしまったり、感じること思うことが多いこの頃。やりきれない思いで街を歩いていて、昔のサントリーのウイスキーの広告コピーを思い出した。「時代なんかパッと変わる」。

 
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