【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 657】連泊型旅館への転換〈4〉 青木康弘


 前回に引き続き、高単価の連泊客に選ばれる施設になるためのポイントを紹介したい。施設の高付加価値化やインバウンド個人客の集客を進めていくにあたって、今後取り組みを強化したいのが連泊客への対応である。これまで旅館は連泊客の対応を苦手としていた。しかし、旅先での過ごし方が大きく変革するなかで、1泊2食の運営形態に固執しすぎるとお客から選ばれなくなる可能性があるため、今のうちから改革を進めていこう。

 (5)高所得層向けの連泊サービスを企画する

 商圏人口の減少などの理由により、観光客の増加が見込めないエリアで採算を確保していくためには、高所得層の連泊者を獲得できるユニークな企画づくりを行うことをお勧めする。まず初めに取り組みたいのが、オーダーメイドの料理である。食事時間を限定せず、好きな料理をいつでも食べていただくオールインクルーシブに加えて、お客さまのリクエストに合わせたオリジナル料理の提供を行うのも一案である。高所得層は特別な経験を求める傾向にある。メニューブックにない料理のレパートリーをいくつか準備しておけば対応可能だろう。

 お客さまの趣味や嗜好に合わせたオリジナルのアクティビティやツアーを宿泊プランに組み込むことも検討したい。例えば、お客さま専属のスタッフを決めて、アクティビティに終日同行するというのも良いだろう。ありきたりの観光スポットではなく、地元の人も立ち寄らない場所での森林浴や、川のアクティビティなど特別なコンテンツづくりを行うことが重要だ。お客さまに合わせて滞在中のプランを即興で作ると満足度がより高くなるだろう。

 タクシーやハイヤー会社と連携して、送迎や観光周遊を組み合わせたプランを企画しても良い。単なる自宅と旅館との往復ではなく、独自の周遊プランを企画すると喜ばれるだろう。宿泊客から申し込みがあった通りにサービス提供するのではなく、お客さまニーズに合わせてオリジナルの旅程を提案すると差別化しやすい。

 このようなオーダーメイドの企画は、規模の小さい旅館ほど有利だ。設備の高付加価値化の次の一手として取り組むことをお勧めする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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