【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 645】2023年に取り組むべきこと4 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、困難な状況を乗り越え、施設を再興させるために2023年に取り組むべきことを紹介したい。新型コロナが流行を始めてから4年目になろうとしている。全国旅行支援により観光地は活況を取り戻しつつあるが、コロナの再燃や政府の政策に翻弄(ほんろう)され道標を見失っている旅館・ホテルは少なくない。

 (4)幹部スタッフのスキル領域を広げる

 施設運営の省人化・省力化を求められている一方で、幹部スタッフが対応しなければならない業務は高度化している。観光庁など行政から求められる書類やデータは財務や人事労務、IT、先進的経営の知識がないと対応ができない。

 試みに「宿泊業の高付加価値化のためのガイドラインに基づく登録制度(https://syukuhakugyo-kigyotekikeiei.mlit.go.jp/)の申請項目をチェックしてみよう。キャッシュフローや損益分岐点、管理会計、サプライチェーン、BCP、有給休暇計画的付与、法定外休暇制度、能力評価制度、レベニューマネジメント、デジタルマーケティングシステム等のキーワードが並ぶが、理解できるだろうか。皆目見当が付かないという幹部スタッフがいたら、その分野について基礎知識を身に付けさせることをお勧めする。

 観光業界で推進されているDX(デジタルトランスフォーメーション)についても、ITに関する基本的な知識がないと、自社に合った優れたシステムを選択して使いこなすことができない。セールスマンの言うままに性能の低い古いシステムを導入したり、導入したもののスタッフが使わず宝の持ち腐れとなったりという問題が発生する。幹部スタッフにはDXの前提となるITの基本知識を身に付けさせたい。

 管理部門の幹部スタッフの戦力化に向いているのがエクセルやプログラミングのスキルだ。顧客分析は高価な分析ツールを導入しなくても、エクセルやデータベース言語を習得すれば比較的容易に行うことができる。エクセルで作成した請求書をリスト化して集計したり、他館の現在の宿泊料金をwebから自動で取得したりすることも可能だ。

 今年は、幹部スタッフのスキルの幅を広げられるよう、従来の旅館・ホテルにとらわれないトレーニング制度の充実を図りたい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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