【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 608】初めてでも分かる補助金獲得法2 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、補助金申請に慣れていない施設向けに、効果的な獲得方法を紹介したい。昨年度に引き続き令和4年度も観光業向けにさまざまな補助金が発表されている。これまで申請自体したことがない施設であっても、コツさえつかめば申請は難しいものではない。客室等のリニューアルを行い、業績アップを目指す施設はぜひ挑戦してほしい。

 常時雇用する従業員数が20人以下の施設であれば、「持続化補助金」の申請をおすすめする。毎年複数回募集がある上に採択率が高い。申請書類の準備が比較的容易なので、採択されるまで何度もチャレンジしよう。

 提出する経営計画書は、事業再構築補助金をはじめとする高額の補助金と類似点もある。より高額の補助金を狙っていくための足掛かりとして取り組むことも可能だ。

 持続化補助金の補助率、補助上限は、募集される回次によって異なる。現時点では補助率最大4分の3、補助上限200万円である(直近の決算が赤字となっている事業者の場合)。補助対象となる支出を約300万円(税込み)とすると、200万円補助される計算だ。

 申請する会社の状況によってさまざまな類型(申し込みの枠)が設定されている。小規模の宿泊施設が利用しやすいのは、「賃金引き上げ枠」「卒業枠」という類型だ。賃金引き上げ枠は、従業員に適用する時給額のうち最も低い額を地域の最低賃金よりも30円以上高く設定すると適用される。

 例えば、最低賃金930円とすると、職場の最低時給を960円以上に設定するとよい。卒業枠は、補助金を活用した取り組みが完了するまでに常時雇用する従業員を21人以上に増員すると適用される。事業再構築補助金を活用した新規事業の取り組みなどによって、従業員数が増加する場合には、タイミングをうまく合わせて申請すると良いだろう。

 補助対象経費となりうるものは、販路開拓につながる設備投資、広報、ウェブサイト、展示会出展(オンライン含む)、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費(雑給など)、借料(リース、レンタル料)、設備処分費、委託・外注費(専門家経費、外注工事費含む)と幅広い。汎用性の高いものは対象外とされているが、実際にはデジタル一眼カメラも補助対象となるので先入観をもたずチャレンジしたい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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