【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 602】少数精鋭組織の作り方1 青木康弘


青木氏

 新型コロナが長期化する中でスタッフの退職が相次いでいる。すぐに求人をかけたいところだが、先行き不透明感から新規採用を躊躇(ちゅうちょ)する施設は多い。今後も稼働が不安定となることを想定すると、最低限のスタッフで効率的な運営を目指すことも有効な手段である。今回コラムでは、労働集約的なビジネスから脱却し、少数精鋭による効率的な運営を行う方法を紹介したい。

 1、優秀なスタッフに報いる評価制度を導入する

 少数精鋭の組織を作るためには、優秀なスタッフを定着させる仕組みが必要だ。優秀なスタッフが辞めてしまうきっかけとして大きいのが、人事評価に対する不満だ。貢献度の高い人が報われる制度を導入しよう。旅館・ホテル業は事業の特性上、給与原資を無限に増やすことはできない。基本給のベースアップは最小限として、役職手当や賞与によって報いるのが良いだろう。

 賞与査定は業務に負荷がかからないよう簡易的に行うことをお勧めする。まず、職務態度、職種ごとの業務スキル、マネジメント能力の観点から評価項目を10から15項目程度設定しよう。次に、賞与支給のサイクルに合わせて半年ごとに査定を行う。足元の業績が不安定である場合には、賞与予算が確保できるタイミングでも良い。

 各項目は3~5段階で評価し、総合得点でランク付けをする。例えば、A評価は月給の1カ月分、B評価は月給の0.5カ月分というように、月給に対する倍率を定めるのが運用しやすい。

 少数精鋭組織の中核となるスタッフは手厚く評価したい。中核スタッフは、皆さまの施設の強みによって定義が異なる。サービスを強みとするならば、客室や料飲サービス部門の優秀なスタッフが定着することを重視し、手厚く評価する必要がある。反対に、無人化を強みとするならば、企画や予約、清掃部門のスタッフを重視する必要がある。

 全ての部門、スタッフが満足する待遇を用意するのは難しい。自社の強みの源泉となっている部門を見極め、弾力的に評価することをお勧めする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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